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「紙とハンコ」克服、経理業務のリモートシステム構築へ

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 テレワークで経理業務を完結させるため、「紙とハンコ」文化からの脱却を目指す動きが本格化している。押印や勘定照合など手作業の部分が多く残っている分野だが、日本CFO協会(東京・千代田)は経理・財務業務のデジタル化を促す本格的なキャンペーンを始める。第1弾として9月に開催するオンラインフォーラムでリモート決算システムの国内先行事例を重点的に分析、紹介する。一方セゾン情報システムズやブラックライン(東京・港)などIT関連企業11社も連携し、経理業務を自動化するSaaS(ソフトウエア・アズ・ア・サービス)の提供拡大を目指す。新型コロナウイルス感染の再熱はデジタル化の流れを加速させそうだ。

「請求書・契約書の確認・押印で出社」56%

 日本CFO協会は3月決算の上場企業を対象に最高財務責任者(CFO)らへのアンケートを実施した。回答企業は131社でグループ売上高5000億円以上が46%、1000億円以上5000億円未満が21%、500億円以上1000億円未満が12%、100億円以上500億円未満が15%だった。新型コロナ感染で通常より決算業務が遅れた理由(複数回答)には「海外子会社の監査遅れ」(55%)、「海外子会社のレポート・パッケージの遅れ」(53%)、「会計監査法人が来社対応しないことでの遅れ」(45%)が挙がった。日本企業のグローバル展開が進む中で、海外拠点の都市封鎖(ロックダウン)などが大きなリスク要因となった。

 その一方で実際に決算発表を延期した企業は27%にとどまった。4月からの緊急事態宣言中に「全く出社しなかった」は6%、「5割以上が出社」が48%、100%出社して対応したのは10%だった。出社の理由は「請求書・契約書の確認や押印」が56%、「銀行提出書類への押印・郵送・FAX対応」40%、「内部決裁書類への押印」が33%だった。

 日本CFO協会主任研究委員で公認会計士の中田清穂氏は「自分や経理チームの感染リスクを心配しながらも、決算発表が遅れないように出社していた。例年通りのスケジュールにこだわるなというメッセージが出せなかった、経営レベルの課題が明らかになった」と話す。

 青山学院大の八田進二名誉教授も「経理・財務のメンバーの多くは無理して出社し決着をつけ、株主総会前の5月中旬から下旬にかけて一気に監査法人にシワ寄せが来るというリスクが高かったのではないか」と指摘する。期日内にこなしても、あとで訂正有価証券報告書が出てくれば信頼性を損ないかねない。非常事態宣言中に苦労したことについては「請求書が紙で送付されてくる」が60%、「押印作業」が46%だった。

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