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指示待ちが危ない 「8月病」防ぐ3つの対策 鈴木安名・産業保健メンタルヘルス研究会代表理事に聞く(4)

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「グチ」言い合いはメンタルヘルスの悪化防ぐ特効薬

 「指示待ちタイプは社会性の未熟さが特徴。親による人生経験の剥奪で欲求不満になりメンタル不調に陥りやすい」と鈴木氏。教育心理学の概念で生活の自立・経済の自立・精神の自立の3つのうち最も土台となるのは生活の自立だ。鈴木氏は「生活の自立ができていない新人は、指示待ちタイプになる傾向が強く大きな脆弱性をもつ」と指摘する。

 今からでも可能な8月病への対策は3つあるという。第1は「ねぎらい」だ。簡単な仕事でも「できて当然」ではなく、ねぎらうことで新人の承認欲求に応えるのが役に立つ。さらに「弱点を指摘するより、不足している能力のスキルを高めようと語りかける方が効果的」鈴木氏。

 当然ながら仕事量の軽減もメンタル不調の改善に有効だ。「補助的なシングルタスクを健康な新人の半分の量で、締め切りは2倍の余裕で行わせるのがひとつの目安だ」(鈴木氏)。リモート研修からそのままテレワークの職場に移行した新人のケースでも使える。その際は(1)日々の就寝、起床時間を入力する(2)月に1度は体重を測るように指導するのが望ましい。 「ただし業務に直接は関係しない健康情報なので、開示を業務命令することはできない」と鈴木氏は注意を促す。

 3番目は「ヨコのつながり」での対策だ。鈴木氏は産業医として担当する企業で、新人を含めた若手社員だけを集め、社には報告しないことを条件に好きに言わせる会を催したという。最初こそ用心して本音をしゃべらなかったが回数を重ねるにつれ職場の不満をぶつけ合うようになった。「愚痴を言い合うのはメンタルヘルスの悪化を防ぐ特効薬。対象の社員を広げすぎず、何回も続けることが大事だ」と鈴木氏は話している。新型コロナ感染を予防するため、適切な距離を取りながら開催するのが望ましいだろう。

 鈴木氏は8月病に対処する先輩社員も、実はメンタル面での負担が小さくないと指摘する。「まず自分の精神的な健康を優先する、誰が対処してもうまく行かないことがあると思って対処する、同じ立場の社員で愚痴を言い合う…などは心得ておきたい」としている。

(松本治人)

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