アフターコロナの働き方

中高年の活躍阻む3つの壁 テレワークが崩す 同志社大学政策学部教授 太田 肇

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 大企業を中心に、これまでの伝統的な「メンバーシップ型」雇用から「ジョブ型」雇用への転換が叫ばれている。実際に「ジョブ型」がどれだけ広がるかは疑問だが、いずれにしても一人ひとりの分担を明確にし、仕事のアウトプットで評価する方向に進むのは間違いなかろう。またテレワークとピラミッド型の組織は相性が悪いので、組織はフラットになっていく。すると必然的に部長や課長といった役職も減る。その結果、年齢や勤続年数によって給与や地位が上がる年功制は維持することが困難になるのだ。

テレワークなら年長者への余分な気遣いは無用

 3つ目は文化の壁である。

 「長幼の序」の文化が残るわが国では、年長者の部下は扱いにくいという声がしばしば聞かれる。たとえ部下でも年長者は立てないといけないし、敬語で話さなければならない。いっぽう年長者の側も、年下の上司から指図を受けるのに抵抗を覚える人が少なくない。逆に年下である周囲の人たちに対して過剰な気遣いをする年長者もいる。

 その点、テレワークだと対面的な接触がないので年長者のプライドが仕事の障害になることは少なく、よい意味で対等かつドライな関係のなかで働ける。

 3つの壁の崩壊は、いずれも合理的・必然的な理由によるものである。したがって共同体のなかで一緒に働き、長幼の序に基づいて地位や待遇が決まるという時代に後戻りすることはないはずだ。そうすると60代でも70代でも、能力に応じて第一線で働き続けることが夢ではなくなる。「シニアをどのように働かせるか」といった議論も意味がなくなるだろう。

太田肇(おおた・はじめ)
同志社大学政策学部・同大学院総合政策科学研究科教授。神戸大学大学院経営学研究科修了。経済学博士。専門は組織論、とくに「個人を生かす組織」について研究。元日本労務学会副会長。組織学会賞、経営科学文献賞、中小企業研究奨励賞本賞などを受賞。『「承認欲求」の呪縛』(新潮新書)、『「ネコ型」人間の時代』(平凡社新書)、『公務員革命』(ちくま新書)、『「見せかけの勤勉」の正体』(PHP研究所)、『個人尊重の組織論』(中公新書)、近著に『「超」働き方改革』(ちくま新書)など著書多数。

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