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テレワークで5月病が「8月病」に 夏休み明けに備えを 鈴木安名・産業保健メンタルヘルス研究会代表理事に聞く(3)

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 この夏は、新人社員がメンタル不調を起こす「8月病」に悩まされるかもしれない――。新型コロナウイルスの影響で遅れていた、新社員の初職場への配属が続いている。例年関心を集める「5月病」の時期は、緊急事態宣言の外出自粛でほぼ何事もなく過ぎた。しかし今年は夏休み明けが要注意だ。リモート研修から直接の配属といった、これまでにない要素も加わる。産業保健メンタルヘルス研究会(東京・千代田)の鈴木安名・代表理事は「パフォーマンス低下を防ぐビジネス的な視点で本人からのサインを見逃さないようにしたい」と警鐘を鳴らしている。

「夜型生活」がメンタル不調の引き金に

 医学的に5月病という疾患はないという。症状も受診不要な軽い不眠の傾向や不安感、疲労感が主体で仕事に差し支えのない「ブルー」から、休業が必要となる重いメンタル不調までさまざまだ。「ブルーとしての5月病は誰にでも起こりうる。会社員生活に気合が入ればアドレナリン分泌のため寝つきは悪くなる」と鈴木代表は説明する。こちらは心配ない。

 一方、ライフイベント(就職、結婚、死別など)から3か月以内に、ストレスによるメンタル不調を発症すると「適応障害」と診断される。新しい環境になじもうと必死に取り組んでいる期間に、やや長めの休日で気が緩んだタイミングが引き金となりやすい。発症時期の長期化傾向も出てきていて、昨年は9月にメンタル不調を起こした新人社員もいるという。

 小売業など一部で4月に新人配属したケースがあるものの、長期のリモート研修の後に、6、7月に入社式と初配属を決めたメーカーは少なくない。鈴木氏は「新しい職場に慣れるまでの半年間は周囲のフォローも含めて注意すべき。今年は夏休み明けが最初のヤマ場だ」と説く。たった1日でも、無断欠勤や当日の連絡欠勤があった場合は軽視せずメンタル不調を疑うべきだと念押しする。

 特に最近は(1)夜型生活が改善できない(2)リアルショックを受けて悩む(3)対面コミュニケーションの不足――などが原因のメンタル不調が目立ってきており、鈴木氏は「スマホ時代の5月病」と分析している。SNS(交流サイト)やゲームに依存し、LINEの既読スルーはマナー違反と考える若者は多いと、鈴木氏は指摘する。このため学生時代の夜型生活から抜け出せなくなっているとみる。ある地方自治体の新人職員調査では、5%の新人が午前2時就寝、6時起床だった。「夜型生活による睡眠時間の不足がパフォーマンス低下を招いている」と鈴木氏。

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