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米中冷戦でビジネス激変 日本企業に3つの備え急務 国分俊史・多摩大大学院教授(ルール形成戦略研究所所長)に聞く(1)

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 長引く新型コロナウイルスとの戦いに世界が苦闘している中、米中の冷戦が激化している。中国は医療物資を大量に提供する「マスク外交」を展開する一方、米国は華為技術(ファーウェイ)排除拡大などの相次ぐ強硬策で押さえ込みにかかる。米中冷戦は20年続くかもしれない。国際的なビジネスルールが変わろうとしている中、外資系企業の戦略設計や欧米の経済安全保障政策に精通する国分俊史・多摩大大学院教授(同大ルール形成戦略研究所所長)は「日本企業は経済安保の視点を織り込んだ経営改革を急ぐべきだ」と警鐘を鳴らす。

エコノミック・ステイトクラフトはオバマ政権でも構想

 ――米中の対立が深刻度を増しています。昨年の貿易戦争から、中国に対し米国が強引に経済制裁を発動しているようにもみえます。個性的なトランプ大統領のキャラクターが影響しているのでしょうか。

 「オバマ前政権時代から、エコノミック・ステイトクラフト(ES、安全保障政策と経済政策を一体化し他国への影響力を発揮する手法)は提言されていました。はっきり中国との対決姿勢を示したのは2018年10月のペンス副大統領の演説です。即興的、直感的なものではなく、トランプ政権内の各省庁で準備を重ねてきた結果です」

 「他方、中国は自国の経済力を駆使したES戦略を進めてきていました。アジアインフラ投資銀行(AIIB)や一帯一路構想などでは、港湾などのインフラ整備のみならず、中国の人工衛星網や海運ネットワーク利用を前提とするケースも出ています。非軍事分野の『限定戦』という考えを最初に構想したのは、実は20世紀末の中国でした」

 ――大国間の政治的思惑でグローバル経済の合理的な自由貿易が左右されることには、強い違和感を覚えます。

 「自由貿易の促進には安定した国際協調関係が欠かせませんが、中国が既存秩序と自由競争のルールに挑戦しているとの懸念が広がっているのです。当面は不合理な面があっても経済安保を優先すべきとの認識が、濃淡の差はあっても欧米やインドに共有化されつつあります。いち早くファーウェイ問題の情報を提供したのは、貿易面で対中依存度が高いオーストラリアでした」

 「中国が進めるシャドーラボは、先進諸国の開発者に中国で同じ研究をさせ、成果をそのまま中国と共有する手法です。巨額の研究資金に応じた米国でのケースもあります。しかし知的財産を重視する立場からは、こうした形で先端技術をキャッチアップするやり方が『自由競争』だとは受け入れ難いでしょう」

日本企業の国際競争力そがれる可能性

 「以前の米ソ冷戦時代は『封じ込め』政策が機能しました。しかしグローバル経済にしっかり組み込まれている中国は閉じ込め切れません。中国に対してはこれまであまりにも寛容であったことから、米国は貿易管理の抜本的強化や禁輸対象リスト(エンティティーリスト)など経済安全保障政策という『楯』を持って、中国と向き合い始めたと捉えることが適切です」

 「昨年議論を交わした米政府の担当者は『米中冷戦は20年かかる』という認識でした。日本の経営トップは、こうした国際情勢を前提として、輸出管理の対象技術の拡大や米国でディファクト化しつつあるサイバーセキュリティ技術を用いた情報システムへの移行を急がなければ、企業の競争力がそがれる恐れもあります」

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