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「成果ないけど頑張った」は高評価か? ハイブリッド型人事に限界 同志社大学政策学部教授 太田 肇

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 テレワークの普及にともない、人事評価制度の見直しを模索する動きが活発になってきた。人事評価サービスを行う「あしたのチーム」が今年の3月31日から4月1日にかけて行った調査によると、テレワークに適していると思う人事評価制度として「成果をもとにした評価制度」(77.0)、「プロセスをもとにした評価制度」57.0%)という回答が多数を占める(複数回答)。

「成果もプロセスも重視」というが……

 「ジョブ型雇用」への移行を宣言した日立製作所や富士通のような一部企業を除けば、人事担当者の声を聞いても「成果を重視するがプロセスもみる」という企業が多いようだ。

 もっとも、これはとくに目立った変化ではなく、近年における人事制度改革の延長線上にあるといえる。ただテレワークで社員の仕事ぶりをチェックするのが難しくなったため、改革への切迫感が強まっただけだろう。

成果を重視するようになったといっても欧米のように成果一本ではなく、プロセスも評価するというのは、一見するとマイルドで穏当な印象を受ける。

 しかし、実はそこに落とし穴がある。

「仕事できるが協調性ない」は低評価

 「成果だけでなくプロセスもみる」ときくと、既視感を覚える人が少なくないのではないか。そう、かつて成果主義が論争を巻き起こしたとき、落としどころとして使われたセリフだ。そこで約20年前の当時を振り返ってみたい。

 仕事の成果で評価しようとしても、日本企業では一人ひとりの分担が明確になっていない。また成果主義の主要ツールである目標管理も、「目標」の難易度にバラツキがある。そのため成果一本で評価すると、社員の不満や不公平感が一挙に表面化した。そこで成果だけでなくプロセスもみようとしたが、分担が明確でない以上、成果につながるプロセスを評価することも難しい。その結果、どれだけ残業しているかとか、がんばっているかどうかといったところで「プロセス」を評価せざるを得なくなってしまったのだ。

 そもそも「成果だけでなくプロセスもみる」というのは、運用のしかたによって真逆の意味をもつようになる。社員の立場からすると、成果はあがらなかったがプロセスを評価してもらえるのならよいが、成果をあげてもプロセスに問題があるといわれ評価が低くなるのなら成果一本よりむしろ酷である。

 かつての成果主義のもとでは、しばしば後者のような運用がなされた。たとえ成果をあげても「再現性のある成果でないとダメだ」とか、「仕事はできるが協調性に欠ける」といった理由で、よい評価を得られないケースが少なくなかった。

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