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「ダブル11」超えた「618」 コロナ後の中国人消費に12の潮流 中国市場戦略研究所(CM-RC.com)代表 徐向東

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【生鮮食品が人気】

6月16日に4億人が農産品を販売するキャンペーンに参加、農産品を販売する「互動城」のサイトでの売り上げは10億元(約150億円)を超えた。コロナウイルスは中国各地の生鮮食品の販売に大きなダメージを与えたが、それに対抗するため、2月からタオバオは生鮮食品や農産品のネット販売のキャンペーンを開始し、6月1日から始まった618セールの1週目では、キャビア、アワビ、カキ、タコ、上海ガニ、ホタテ、羊のスペアリブなどの生鮮品の売上げは倍増した。特にウナギ、アワビ、ホタテなどの売上げは5倍増も実現した。

新しい製造モデルのC2M】

消費者と生産者を結びつけてオーダーメードの製品を低価格で製造するC2M(Consumer-to-Manufacturer)商品の売り上げが急増した。河南省許昌市に「舒莱」というナプキン工場があるが、ライブ中継を通じて7000ほどの衛生マスクのオーダーを獲得した。天猫618期間中に、C2M商品のオーダーは去年同期より500%増となった。C2M商品を提供しているメーカーのなか、約200社が100万元超、1900社が10万元超の売り上げを実現した。

【新しい販売モデルのライブ中継】

タオバオのライブ中継は今年の618の最有力の販売ツールとなった。今年は有名芸能人も300人ほどライブ中継に呼ばれたが、今までと大きく違うのは、企業経営者も自ら積極的にライブに登場したことだ。600人ほどの企業経営者がタオバオ中継を行っている。家電メーカー「格力(GREE)」の女性社長・董明珠は多忙なスケジュールの中で合間を縫ってわずかな中継を行っただけで、同社のクーラーなどは飛ぶように売れて、618セールには、102億元(1500億円超)ほどの売り上げを実現した。ネット旅行予約の「携程(C-trip)」は、コロナの影響で売り上げを急減したが、同社の梁建章社長は、コスプレ姿でライブに登場したことも大きな話題を呼び、1億元ほどのツアーなど旅行商品を販売したとの報道もある。

有名企業から中小企業、そして農作業までがライブ中継を導入している。618期間中に農作業の中継が26万回も行われ、各地の特産品のアピールに寄与した。今年の618期間中に、「店舗サイト」や「商品ページ」への誘導の6割は、ライブ中継によって実現されている。ライブ中継の商業価値が注目されている。

【驚異的な宅配】

傘下の「餓了●」(ウーラマ、●は左に口、右に馬)(※2)を使ってオーダーすれば華為(ファーウェイ)は10分間で自宅に届き、「盒馬里」を使ってオーダーすればユニクロのTシャツや、アディダスの人気スニーカーは30分間に自宅に届いている。タオバオでは60分以内に購入者の自宅に届ける商品はすでに1000万種類になっていて、天猫国際の海外化粧品も半日で消費者の手に届けるようになった。

【サービス業のネット予約】

百貨店のコスメカウンターのように、化粧品の各アイテムを、スキャンした自身の顔に再現し、自分の顔の色や雰囲気に合うかどうかを購入する前に検討する「ARメイク」や、有名百貨店やイケアなどの3Dショップ、マイホームやマイカーのライブ販売、ネイルやカットなどのネット予約などの新しいサービスも展開されている。

◇  ◇  ◇

 618セールに関してはこれからはさらにデータが増えるので、いろいろ分析を進めていく予定だが、コロナは人々の生活を大きく変える一方、新しいビジネスやトレンドも誕生させている。そこに、新しいビジネスチャンスがある。

(※1)「リー・ズーチー」はいま、YouTubeで一番見られている中国人女性の名前です。彼女がYouTubeにアップした、中国の風光明媚(ふうこうめいび)な農村でのんびりで暮らしながら、いろいろな料理をゆっくり作っている映像は世界中で好感を持たれています。中国政府のPRよりも、彼女の映像が世界の人々の心をつかんでいるのです。彼女の名前で立ち上げた加工食品のブランドも、天猫サイトの中で一番売れてている人気食品のネットショップになっています。
(※2)「ウーラマ」は「おなかが空いた?」という意味で、もともとはフードデリバリーの最大手です。このサービスのすごいところは、地図機能です。消費者が「ウーラマ」のアプリをダウンロードして開いてみると、自分の居場所(位置情報)から半径30分の距離以内に注文可能なすべての飲食店の情報がすぐ表示されるので好きな飲食をすぐ注文して、30分以内にすぐ宅配してくれます。アリババはこのサービスのすごさを評価して買収したのです。今はこのサービスを使って、フードデリバリーだけでなく、今回の618のように、居場所を確認しながら最短距離で注文した商品を届けてくれます。

中国市場戦略研究所が6月19日に発行したメルマガから転載)

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