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テレワークが結ぶ地方と都市 「地方創生」のヒントは

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 新型コロナウイルスの感染流行をきっかけに一気に広がったテレワーク。会社と離れた場所で働けるリモート勤務が定着すれば、都市部の働き手が人混みの少ない地方で、毎日の通勤地獄を避けつつ余暇を兼ねて仕事ができるチャンスが生まれる。働き方の多様な選択肢は都市と地方のビジネスパーソンの交流拡大につながる。テレワークの普及が「地方創生」を掲げ立ち遅れていた地域活性化のヒントになるとの期待もある。

豊かな自然に囲まれテレワーク

 北海道にある人口1万人余りの斜里町。日本百名山の一つ、勇壮な斜里岳(標高1547メートル)を望め、世界自然遺産の知床に程近い、自然豊かな小さな町だ。JR知床斜里駅から車で数分、そこに同町が整備したテレワーク拠点「しれとこらぼ」はある。旧法務局の施設を改修して2015年に開業、2階建ての建物には会議室やワーキングスペース、6人まで宿泊できるスペースを備える。首都圏の大手企業などで働くテレワーカーの滞在を無料で受け入れている。

 昨年12月に初めて訪問すると、都内のIT企業に務める20代の女性がパソコンで熱心に仕事をしていた。斜里町内で進んでいるプロジェクトに参画し、18年から同町で数多くの仕事をこなすこの女性は「来る途中、車窓から眺めるオホーツク海の景色にいつも感動する。通勤がストレスとなる東京と違い、自分のペースで働けるのも良い」と笑みを浮かべた。

 斜里町がテレワーク推進事業にかじを切ったのは15年からだ。総務省の「ふるさとテレワーク」実証事業に、同じ北海道の北見市とともに採択されたのがきっかけ。斜里町の基幹産業といえば農業や漁業、自然や食を生かした観光業にとどまる。テレワークはおろか、IT業界とまったく縁遠い町でもある。北海道は斜里町に限らず、全国平均を上回るペースで人口減少が進んでいる。「テレワーク人材の誘致で地元の活性化を図ろうと考えていた」と、斜里町総務部企画総務課企画係の東優里さんは話す。「首都圏の企業とつながりをもちたかった」というが、これまでビジネスの直接の結びつきはほとんどなかった。「一度来てもらったら、町の魅力はわかってもらえる」と東さんは強調する。

 「しれとこらぼ」の利用者は2泊3日から1週間以内の短期滞在が多い。ホームページや電話で申し込み、気軽に利用できる。個人だけでなく、大手企業が合宿の形で集団で利用するケースもみられ、これまでに日立製作所や損害保険ジャパンなどの大手から中小まで20年3月末時点で226社、531人が利用したという。

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