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コロナ後「心に不安」44% 在宅で労働増や「仕事なし」

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 新型コロナの影響で「仕事なし」になったり、在宅勤務で労働時間が増えたりした人を中心に「メンタルに不安を感じている」人が44.7%に達することが、健康アプリ開発のリンクアンドコミュニケーション(東京・千代田)の調査で分かった。自宅での飲酒量も増える傾向にあるという。新型コロナウイルスに対する緊急事態宣言の解除後も、テレワーク態勢を継続している企業は多い。本格的な定着には利便性の高いネットワーク構築などに加えて、従業員に対するメンタルな健康ケアが、重要な経営課題になっている。

 リンクアンドコミュニケーションは、自社の健康アプリユーザー6302人(男性約3割、女性約7割)を対象に、4月30日から5月8日までアンケート調査を実施した。コロナ流行前に「仕事をしている」人は5356人(85%)、「仕事をしていない人」は946人(15%)だったが 緊急事態宣言後には「仕事をしている」人は4748人に減り、「仕事をしていない」人は1554人に増えた。緊急事態宣言後に「仕事をしている」4748人の内訳は「フルタイム」が3883人、「パート」が865人だった。

 同社のアンケートで「この1カ月間に気分が沈んだり憂鬱な気持ちになったりしたことがある」「どうも物事に対して興味がわかない、心から楽しめない感じがよくある」「孤独を感じている」に1つでも該当した方は、「仕事をしていない」人も含めた全体の計44.7%に達し、同社では「メンタルに不安を感じている」人と定義づけた。内訳を分析すると、緊急事態宣言後に「仕事をしていない」人や、緊急事態宣言後に「労働時間が増えた」人の回答率が高かった。

適量超える飲酒、「在宅で労働時間増えた」層で2割増

 同社では今年1月から5月までのライフログも分析した。1日にアルコール量20グラムまでが適量とされる飲酒習慣で、緊急事態宣言後に「仕事をしなくなった」層で、適量を超えて飲酒するケースが4割増となった。さらに「フルタイムで在宅勤務になり労働時間が増えた」層は適量を超えた人が2割増えた。一方、労働時間に変化のないパートタイム勤務者は在宅・出社に関係なく2割減少したという。

 ライフログ分析で、1日に3000歩(日本人の平均は約6300歩、厚生労働省『健康日本21』での目標は男性9000歩、女性8500歩)未満の層が拡大していることも分かった。新型コロナの影響がまだ大きくない1月では全体の8.8%だったのに対し、2月から増え始め4月に24.6%、5月は28.7%に達したという。

在宅勤務での孤立回避必要に

 フルタイムの在宅勤務者は労働時間が増加した人のうち32.3%、労働時間の変化がない人で28.2%、労働時間が減少した人で25.2%が3000歩未満だった。在宅パート勤務者では労働時間増加の50.0%、変化なしの47.1%、減少のケースで35.3%と、いずれもが高い割合で3000歩未満だった。

 こうした調査結果に、東京大学大学院医学系研究科の近藤尚己准教授は「在宅ワークの場合は通勤時間が減る分、運動に費やす時間を確保できそうだが実際には歩数が減っている。フルタイムだけでなくパート勤務への特段の心身の気遣いが必要だ」と指摘する。同氏は、勤務の負担軽減、個別の面談、在宅勤務での孤立回避などの対策を挙げている。

(松本治人)

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