アフターコロナの働き方

「役割さえ果たせばよい」テレワークで定着へ 同志社大学政策学部教授 太田 肇

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 テレワークも、このような徹底した役割主義の延長線上にあるのでスムーズに実施できているといえよう。

 ただ「役割」と「行動」を切り離すうえでは、当然ながら役割そのものを明確にしておくことが前提になる。そこで飛びつきたくなるのは欧米型の職務主義だが、個人の職務を細かく定義する職務主義は、変化の激しい時代には限界があるかもしれない。もっと違う切り口が必要ではないかと思う。

報告は「何をしているか」より「何をしたか」

 ところで、管理職自身の「役割」はそもそも何だろうか?

 管理職の役割は「人」(部下)の管理だと思い込んでいると、それが部下の「行動」を過剰に管理することにつながりやすい。本来、管理職の役割は「仕事」の管理であって、「人」の管理は「仕事」の管理に必要な範囲で行うべきなのである。

 たとえばテレワーク中の部下に報告を求めるときは、「何をしているか」より、「何をしたか」「どこまで進捗したか」を聞く。そして部下の自律性と責任能力が育つにつれ、報告のタイムスパンを伸ばしていけばよい。

 「役割」と「行動」を切り離して考えることで、一人ひとりにとって最適な働き方を追求できるようになり、おのずと仕事のムダが減って能率も上がるはずだ。

太田肇(おおた・はじめ)
同志社大学政策学部・同大学院総合政策科学研究科教授。神戸大学大学院経営学研究科修了。経済学博士。専門は組織論、とくに「個人を生かす組織」について研究。元日本労務学会副会長。組織学会賞、経営科学文献賞、中小企業研究奨励賞本賞などを受賞。『「承認欲求」の呪縛』(新潮新書)、『「ネコ型」人間の時代』(平凡社新書)、『公務員革命』(ちくま新書)、『「見せかけの勤勉」の正体』(PHP研究所)、『個人尊重の組織論』(中公新書)ほか著書多数。

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