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コロナ長期戦 社員のメンタルヘルスにどう向き合うか 経営層のための新型コロナ対策(6) 健康企業代表・医師 亀田高志

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 前回の掲載後、ある程度予想されていたことだが、政府対策本部による緊急事態宣言が延長された。

 読者の方々が管掌されている事業は2月末以降、非常に苦しい状況に置かれていることとお察しする。外出自粛や休業要請を含めて緩和措置を切望されていた向きもあるだろう。

 院内感染等を原因とする医療崩壊を防ぐため、引いては人命を守るために可能な限り、感染機会を最小化する目的で人と人との接触を減らす対策が重視されてきた。しかし、それでは事業運営が成り立たない、というのが経営幹部としての本音であり悩みであろう。

 一方で外出自粛や休業要請の解除に進みつつある地域もあり、「出口戦略」との言葉が新聞、テレビ等の報道で目立つ。けれども、本当の“出口”は来年末以降となる可能性を改めて強調したい。なぜなら、この2カ月ほどのロックダウンに準じる状態の後に、外出制限や休業を緩めると、結果的に再び感染者が増える事態に見舞われるからである。

 効果が確かで安全なワクチンや治療薬が開発され、広く利用できる状態になるまでは、自粛期間と緩和期間を繰り返すしか、我々にはなすすべがない。

 本連載の最終回として、本格的な終息までの考え方や課題としての従業員のメンタルヘルスについて、解説したいと思う。

症状でない「不顕性感染」の対策困難

 国内で把握されている患者数に関しては言えば、欧米ほどは増加せず、外出自粛要請や休業要請に国民や市民が応えた結果、新規発生の患者数は減少傾向のようである。

 アビガン等の治療薬が異例のスピードで承認されたり、待たれていたPCR検査等の拡充といった明るいニュースが少しずつ出てはいるが、前回も触れたが、新型コロナウイルス感染症の対策が難しい点は症状が出ない無症候感染である。その数は症状が出て、検査を受けたり、診断される患者数の何倍にも及ぶと考えられている。

 これまで、欧米等の海外に比べて国内の患者数は一桁少なく抑えられており、3月、4月の患者数の増加を典型的な第一波と言い切れない印象もある。

 しかし、不顕性感染が残されたままで緩和措置を行うと一定期間を経ると確実に市中での感染が再上昇し、いずれ患者数の増加が明らかになるだろう。

 新型コロナの感染を確認するためのPCR検査には患者を特定する確率が7割程度しかない、という限界がある。加えて報道で見聞きされていると思うが、日本では残念ながら諸外国に比べて、PCR検査が十分に実施できない状況がある。そのため政府対策本部なり、各自治体からの情報に定量的な根拠が乏しいとか、国民や市民の目線でその基準に納得が得られてにくい、といった批判もあるようである。

 他の方法として抗原検査や抗体検査が広く活用できることも期待されるが、日本各地で広く実施されるようになるにはまだ時間を要する。

 海外ではサンプリングされた人たちに対する抗体検査等が早々と実施され、例えば5月初めの段階のアメリカ・ニューヨーク州では1万5千人に対する集計結果が公表された。ニューヨーク市内では免疫を獲得したと考えられる住民の割合がおおむね5人に1人、州全体では8人に1人のようである。

 ニューヨーク州では患者数が30万人を超える段階にきて、ようやくピークアウトしつつあると報じられている。つまりようやく第一波の後半に差し掛かった段階にすぎない。3月下旬のいわゆるロックダウンの開始から1か月半を経て、免疫を獲得した人が1割から2割となったにすぎない、という事実は重い。

 参考までに国内では限定された集団に対するものしか、抗体検査の結果が知られていないが、東京都内では5%弱や神戸では3%弱といった数値が公表されている。

 今回のような2か月程度の自粛期間、その後の緩和期間が、夏以降に流行が目立つようになれば繰り返されること。それが国民、市民の7割以上、新型コロナウイルスへの免疫を獲得できるまで続くことを読者の方々には心に留めていただきたいと思う。

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