新型コロナに勝つ!中小企業の現場から

「自宅でサバサバ」?逆風の外食店救ったネーミングの妙 地方PR機構代表 殿村 美樹

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 政府による5月6日を期限とした新型コロナウイルスによる緊急事態宣言の期間が5月末に延長された。このコロナウイルスとの戦いは持久戦になりそうだ。しかし経済は待ってはくれない。特に外食業界では、売り上げが前年比8~9割減ったという飲食店が珍しくない。これ以上の打撃を避けるためには今、多くの飲食店が生き残りをかけて実施している料理のテークアウトや通販の売り上げを上げるしかない。そこで必要なのは商品の顔ともいえるネーミング。今までの感覚をそっと横において、消費者の心にひびく商品を届けたい。

 鯖(さば)料理専門店「SABAR(サバー)」を全国展開する「鯖や」(大阪府豊中市)の右田孝宣社長も、コロナ・ショックで店の休業や時短営業を余儀なくされ、インターネット通販に乗り出した。できたての鯖料理を自宅で食べてもらうため料理を急速冷凍する、近ごろ導入した「プロトン技術」を使いサバの刺し身も新鮮なまま届ける仕組みをつくっていた。

サバ料理を通販用商品に

 ただ、これまで通販に注力していなかった。自社通販サイトはあるものの、売り上げは全体の0.2%にとどまっていた。まずは20%に引き上げたいというが、このコロナ禍で広告やPRにかける予算はない。その上、健康志向を背景にした昨今のサバブームで「鯖の通販」はちまたにあふれている。どうすればお金をかけずに通販商品が売れるのか、相談に来られた。 

問い:SABARは新鮮なサバの刺し身が自慢。最新の冷凍技術を用いて、自宅でも同じおいしさが味わえるようにしました。鯖の品質については世界一を自負しています。通販で販売したいのですがノウハウも予算もありません。どうすれば売れるでしょうか?

答え:そこは右田社長お得意のネーミングでしょう。特にネットでは世情にあったユニークなネーミングが注目を集めます。外出自粛が続く中で、鯖にひっかけて「自宅でサバサバ」を商品名にアレンジしてはいかがですか?

 私はまず、印象に残るネーミングを考える。ネットが定着した今、あふれる情報の中で注目を集めるには、ひと言で伝わるインパクトの強いワードが効果を発揮するからだ。しかも右田社長にはこれまでも「お嬢サバ」や「よっぱらいサバ」など、自慢の商品にユニークな名前をつけて売り出した実績がある。インパクトが強くても抵抗感はないはずだ。

 この提案は右田社長の心に響いたようだ。さっそく「それはいいですね」と通販用の商品開発に乗り出した。自慢のサバの刺し身はもちろん、巨大なサバの塩焼きや鯖寿司をセットにして「自宅でサバサバセット」と名付け、価格もサバ(3.8)をもじって3,800円(税・送料込み)に設定。さらに、コロナ後にSABAR店舗で使える1,138円の割引チケットも付けた。誰が見てもお得なセット内容である。

 まず試しにゴールデンウイーク(GW)限定で売りだした。するとこれが「ステイホーム週間」と名付けられたGWの世情にピッタリあったのだろう、トレンドに敏感な女性誌のウェブサイトが次々と「GWはおいしい鯖を食べて、自宅でサバサバしよう」と取り上げた。

 右田社長がこの機を逃すわけはない。すぐに追加メニューとして「SABARつくねセット」「SABAR串カツセット」など多彩なラインアップをそろえ、すべて3,800円(税・送料込み)で売り出した。いずれも好評で「鯖や」通販商品の売り上げは徐々に上がっている。

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