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「コロナ禍で決算遅延」 大企業・輸出型企業ほど影響大きく

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 新型コロナウイルスは国内の1日当たりの感染者数が減少傾向にあるものの、収束の明確な見通しは立っていない。ビジネスパーソンの在宅勤務はなお続きそうだ。そうしたなか、テレワーク実施企業の経理・財務部門では幹部らの半数以上が緊急事態宣言の当初から「決算業務の遅延」を懸念しており、大企業や輸出型企業ほどその割合が高かったことが日本CFO協会(東京・千代田)の調査で分かった。すでに多くの3月期決算企業が発表を延期している。新型コロナ禍は日本企業の課題を改めて浮き彫りにしたようだ。

 同協会は4月7日から13日まで、上場企業の財務最高責任者(CFO)ら経理・財務幹部241人にオンライン上でアンケート調査を実施した。従業員規模は5万人以上が6%、5万人未満5000人以上が26%、1000人以上の企業が24%。回答者の役職は役員33%、部長25%、課長23%と課長以上で81%を占めた。

 調査では新型コロナの感染拡大で懸念されるリスクとして「決算業務の遅延」を挙げたのは55%、「計画・予算の未達」は46%、「業績の下方修正」は38%だった。「決算業務の遅延」は特に企業規模や海外売上高の大きい企業ほど深刻で、売上高5000億円以上の企業の74%、海外売上高比率50%以上の企業の76%が懸念材料として回答した。

■オンライン株主総会も

 資金繰りに関しては当面、リーマンショック時のような資金流動性の逼迫や信用不安の連鎖に対する懸念は目立ってはいない。「特に何もせず予定もない」が27%で、「日々の資金繰りの中で現預金を積み増している」24%と続く。ただ海外売上高比率が高くなるにつれて資金の心配は上昇し、同50%以上の企業では52%が「資金状況に深刻・かなりの影響がある」と回答している。さらに「長期の借り入れや債券発行を行った・予定している」「短期の借り入れやコマーシャルペーパー(CP)を発行した・予定している」はともに26%に上った。

 典型的な「密集・密閉・密接」となる株主総会に関して、何らかのバーチャル株主総会を検討している企業は合計で22%。出席を控えるよう要請する予定の企業は19%だった。総会の延期を検討しているのは4%にとどまった。説明内容の変更や質問の制限で開催時間の短縮を目指すなど各社とも開催は前提としてさまざまに工夫している状況がうかがえる。同協会の松田千恵子主任研究委員(東京都立大教授)は「株主総会のオンライン実施などを含め、業務内容やプロセス、成果評価のあり方なども見直しを迫られる」とみている

■緊急導入で分かったテレワーク環境の未整備

 4月7日の緊急事態宣言を受けて在宅勤務に移行した企業は少なくない。これまでテレワークのメリットとしては「自宅から会社までの通勤時間を有効活用でき、生産性が向上する」「子育てなどで通常勤務できない優秀な人材も確保できる」などがアピールされていた。しかし今回のように態勢が整わないうちに緊急導入すると、リモート化のメリットを享受する前に、足元のさまざまな準備不足があらわになる。

 テレワークを強制的に実施した企業は20%、強く推奨したのは53%に上った。ただ「テレワークの現状に満足している」に「はい」と回答したのは32%にとどまり、「いいえ」が40%、「わからない」が28%に上った。

 テレワークに満足していない理由(複数回答)として「書類のデジタル化が進んでいない」が72%、「VPN(仮想私設網)などアクセス環境が整っていない」が43%、「作業がはかどらない」が」42%と上位を占めた。

 さらに「Web会議ツールが充実していない」は「13%、「ワークライフバランスが取れない」が18%、「パソコンを自宅に持ち帰ることができない」7%、「上司の指示が明確でないから」5%、「外部関係者とリモート対応ができない」「成果評価が明確でない」が各3%だった。

 企業にとっては「ワークライフバランスのあり方」の見直しとともに、テレワーク環境の整備が急務になっているようだ。

(松本治人)

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