新型コロナに勝つ!中小企業の現場から

コロナ禍、中小が異業種参入 強み生かし個性派マスク 地方PR機構代表 殿村 美樹

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 長引く新型コロナウイルス感染下で、経営危機が叫ばれる中小企業はどんな課題を抱えて、どんな策を講じているのか。私のもとには今、多くの中小企業の切迫した相談が寄せられている。その中で、広く応用できそうな事例を取り上げ、テーマごとに紹介したいと思う。

 今回は、新型コロナ感染予防に不可欠なマスクの話だ。現在、急増する需要に供給が追い付かず、政府から約466億円をかけて各世帯に配布する、いわゆる「アベノマスク」で話題となっている。しかし、この現象は、視点を変えれば中小企業のビジネスチャンスにも化ける可能性があるようだ。

手先器用な美容師が顧客のためにできること

 私が相談を受けたのは、商店街に小さな店舗をもつ兵庫県内の美容院の男性経営者だった。政府が4月7日に発令した「緊急事態宣言」を受け、外出自粛の風潮が広がり、商店街でも多くの店が現在、休業している。実はその事業主も「美容院は密閉・密集・密接の『3密』だから休業要請の対象になるだろう」と思っていたが、自治体の休業要請リストには入らなかった。逆に「休業要請しない業種」に挙げられたため、かえって休業できなくなっている。しかし新型コロナ感染の影響で、客足は途絶えてしまい、開店しているだけで赤字の状態だ。どうやったら客足が戻るか、相談に来られた。

問い:カットもパーマもお客様との距離が近く、シャンプーにいたっては息がかかるほど接近しなければなりません。もちろんマスクは着用していますが、美容院は「3密」と受け止められています。さらに、店としては休業要請が出るものと思い、お客様に「しばらく休むことになりそうです」と直近の予約を断っていました。どうすれば客足が戻るでしょうか。

答え:こういった場合、かなりインパクトのある方法が必要になります。最も効果的なのは、今、ニーズが集中しているものを洗い出し、自分の事業で生かせないか、接点を探ることです。そう考えると答えは簡単です。今、最もニーズがあるのはマスクですね。顔を覆うものだから美容院との接点はすぐに見つかるはずです。特に女性はどんな状況でも「キレイに見せたい」と思うものだから、お客様の髪形にあわせて「キレイに見えるマスク」を提案したらいかがですか? オーダーメードの手作りマスクを販売したら利益にもつながります。

問い:オーダーメードの手作りマスクですか? 髪形や髪の色とマッチするオシャレなマスクは提案できますが、どうやって作れば・・・

答え:美容師さんは手先が器用な方が多いでしょう? だから手作りできると思いますよ。経費はかけられませんから、まずは作ってみてはいかがですか?

 その後、実際に作ってみたら、思った通り、手先の器用さが役立って、すぐに手作りマスクが完成したという話だった。さらに、髪形ごとにオシャレなデザインのマスクを作って常連客に伝えたら、徐々に予約が入るようになった。

 ある女性客は「市販のマスクは無機質で、メイクもとれるしゲンナリしていたの。自分の髪形に合ったマスクだったら、こんな私でも美人に見えそう」と喜んだそうだ。なにより、マスク姿も美しく見せたい女心は「コロナ・ショック」を超えるのだ。

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