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内部留保・長期雇用は強み コロナ禍で「日本型経営」再評価 岩村充・早大大学院教授に聞く

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「グローバリズムに夢を求める時代の終わり」

 ――国際通貨基金(IMF)は20世紀前半の世界大恐慌時に次ぐ景気後退になると予測しています。

 「世界恐慌後の世界は金兌換(だかん)券の停止と財政拡大という政策セットを採用した国から、不況から脱出している。先進国の1番手はドイツで英国、日本と続いた。米国やフランスは回復が遅れた。しかし金兌換券の停止は各国の経済ブロックの形成につながり、ブロック間の優劣が第2次世界大戦の原因のひとつになった。現代の世界でグローバリズムを拒否することは、さらに大きな危機につながりかねない」

  ――新型コロナ感染拡大の直前に刊行した「国家・企業・通貨」(新潮選書)では「グローバリズムに夢を求める時代は終わりつつある」とまとめています。

 「19世紀に生まれた国民国家・株式会社・中央銀行で構成する経済システムのひずみが、限界に来ていることを分析した。各国はグローバル企業誘致のための優遇競争を繰り広げ、先進諸国の法人税は大幅に低下した。中央銀行も加わり、超低金利時代が現在も続いている」

■消費税が招いた? 中間層の疲弊と格差拡大

 ――代わる国家の財源として各国で採用されたのが消費税です。

 「企業の利益ではなく付加価値に課税する消費税は、国家間での企業優遇競争を生みにくい代わりに、株主よりは従業員の、富める者よりは中間層の負担を増す制度という面がある。中間層は疲弊し、格差が拡大した結果、ポピュリズムや排外主義の台頭を生んでいる。他方、GAFAに代表される巨大IT企業の影響力は、人々の気持ちや意思決定にまで入り込み始めている。個人の自由を守る取り組みが極めて重要になってきている」

 「ただ新型コロナの収束以後は、世界はこうしたゆがみを是正する方向に進むかもしれない。企業のサプライチェーンの見直しは、日本を含め各国の企業法制や税制の再構築につながる可能性がある。一方、単純な統合統一志向への反省は、中央銀行の貨幣独占発行への見直しもにつながるだろう。地域通貨や暗号資産(仮想通貨)の普及は、試行錯誤を繰り返しながらも進むだろう」

 「株式会社にも変化の芽が育っている。昨年夏にアマゾンやJPモルガン・チェースなどで構成する米経営者団体『ビジネス・ラウンドテーブル』は、従業員や地域社会を重視する事業運営に取り組むと宣言した。こうした株主第一主義からの進化を新型コロナ収束後の経済は加速させるだろう。中小の経営者は、日本型の経営スタイルを守りつつ新たな潮流への目配りが欠かせない」

(聞き手は松本治人)

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