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内部留保・長期雇用は強み コロナ禍で「日本型経営」再評価 岩村充・早大大学院教授に聞く

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 新型コロナウイルスの感染拡大で国際経済の収縮が進むなか、大手から中小まで企業は生き残りをかけて必死の模索を続けている。政府・与党は「新型コロナウイルス感染症緊急経済対策」の裏付けとなる2020年度補正予算の4月内の成立を目指す。岩村充・早大大学院教授は、日銀の企画局兼信用機構局参事を務めた金融政策や経営管理研究の第一人者。新型コロナが収束した後に、企業経営のあり方が大きく変わると分析する。グローバリズムの流れが一転し、これまで批判を受けやすかった手厚い内部留保など「日本型経営」が再評価されると予想している。

■緊急事態宣言は昭和後期の「公定歩合」

 ――政府が外出や営業の自粛を求める「緊急事態宣言」を首都圏など7都府県から全国へ拡大しました。影響力をどう評価しますか。

 「緊急事態宣言は、かつての金融政策における『公定歩合』と似た意味合いがあるといえる。アナウンス効果は確かにあるだろう。公定歩合は日銀が民間銀行へ貸し付けるときに適用する基準金利だが、その効果は象徴的なものだった。変動相場制移行以降の主な金融政策手段は国債・社債などを売買する公開市場オペレーションへとシフトした。それでも公定歩合操作は日銀が市場に送るメッセージとしての意味は大きかった」

 ――実質的な対策となる補正予算の規模は約117兆円とリーマン・ショック時の対策を大きく超えます。

 「国民1人当たりへの現金10万円給付などに一定の効果はあるだろう。ただ現在は、感染拡大につながる活動を封じる『フリーズド経済』を続けるための支援に徹し、消費刺激策は外すべきだ」

 ――規模は十分だとしても、具体的な支援策には、もっと工夫が欲しいところですね。

 「大事なことは、医療現場を守ることだ。人口当たりの死亡率でみると、日本は欧米諸国に比べ極めて低い。イタリアの人口当たり死亡数は日本の100倍以上、新型コロナ対策に成功しているとされるドイツでも数十倍だ。日本の状況を何としても守りたい」

 「国民へのマスク配布には約460億円かかったとされる。この予算で中堅ビジネスホテルに対し、陽性判定だが無症・軽症者向けの施設として1泊1万円で借り上げるとすれば、460万室分だ。2週間隔離するとして30万人を超える患者を収容できる。医療崩壊を避けるためには、この方がずっと賢いのではないだろうか」

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