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コロナに勝つ営業モデルとは 北海道企業の挑戦 居酒屋が出前・ホテルでテレワーク・歌わないカラオケ……

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 新型コロナウイルスの感染拡大に歯止めがかからない。政府は4月16日、東京や大阪など7都府県に発令した「緊急事態宣言」の対象地域を全国に広げる方針を表明した。未曽有の外出自粛要請を受け、飲食業や宿泊業をはじめとして、客足の落ち込みから売り上げの急減に直面する中小・小規模事業者からは悲鳴が上がる。しかし、冷静に自らの立ち位置を見極め、この苦境からはい上がろうとする経営者もいる。全国に先駆けて「緊急事態宣言」を出した北海道で悪戦苦闘を続けながら事業の立て直しに奔走する企業の姿を追った。そこには新型コロナに打ち勝つヒントがある。

 2月28日、北海道の鈴木直道知事が全国に先駆け「緊急事態宣言」を発令した。知事自ら道民に不要不急の外出自粛を呼びかけ、札幌市内の歓楽街「すすきの」からは客足が一気に途絶えた。影響は道内に広がり、道東の釧路市でも飲み屋街を歩く人の姿はまばらになった。

 「緊急事態宣言が出てから客足はぱたりと止まった。私たちは一日いちにちの売り上げが勝負。店を休業したくともとてもできない」。20店ほどが軒を連ね、観光の名物といえる釧路市内の屋台村「釧路赤ちょうちん横丁」で約8年間、居酒屋を営む女性店主はこう話す。横丁の店はどこも小さくて狭い。L字型のテーブルに7、8人も座れば店内はいっぱいになるが、それがかえって客同士の距離を縮め、見知らぬ間柄でもお酒を飲みながらいつしか、会話に花が咲く。それが横丁の店の魅力なのだが、同時に接触が濃厚なリスク地帯ともなる。「どうしようかしら? 店で準備した食材は無駄になるし…」と女性店主は頭を抱える。

巣ごもり需要狙い「自宅宴会プラン」

 卒業や入学、就職など人生の門出を祝う3月、4月に直面したまさかのコロナ禍。「自宅でささやかに宴会を楽しんでもらえないか」。道内に居酒屋など8店舗(2020年3月末時点)を運営する外食チェーンのゼン・スタイル・ダイニング(北海道釧路市)の大野良太代表取締役は前を向く。3月から同社が始めた「ご自宅ご宴会プラン」は、自宅で過ごす「巣ごもり消費」に狙いを定めて、居酒屋のメニューをそっくりそのまま再現することを考えた。食材はもちろん、鍋料理に使うガスコンロなどの機材も届け、料理の準備までこなす。大野代表自ら、1軒ずつ配食や配膳、さらにその後の回収までこなし、汗を流す。

 料理のメニューは寄せ鍋から、サラダ、刺し身の盛り合わせ、串焼きなど様々。1人あたり3000円と5000円(いずれも注文は3人前から)の2種類をそろえる。「客足が止まったからといって、慌てるのではなく、いまやれることをやろう」と大野代表は自らに言い聞かす。同社の3月の売上高は前年比で6割減った。さらに北海道内の感染者数拡大を受け4月20日から5月7日まで全店休業を決めたが、「ご自宅ご宴会プラン」については5月以降も継続する方針といい、事業立て直しを急いでいる。

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