新型コロナに勝つ!中小企業の現場から

留学エージェント VR活用で「コロナ後」も視野 地方PR機構代表 殿村 美樹

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「ピンチをチャンスに」オンライン活用

 しかし、どんなピンチにもチャンスは隠れているものだ。多田代表の場合は、留学ビジネスの本来の目的と考えている「海外の暮らしと文化に溶け込みながら、生きた英語を習得する」に注目すると見えてくる。特にフィジーへの留学は、現地の人々のフレンドリーな国民性が最大の魅力だ。

 そうであれば、留学生がフィジーに興味を持つうちに、現地の人々とできるだけ早くコミュニケーションできる環境をつくり、その魅力を実感してもらうことが先決である。新型コロナ感染で渡航できない間は当然オンラインになるが「やってみたら?」と投げかけた。

 すると多田代表は「それなら渡航前にマンツーマンのコミュニケーションで信頼関係も構築できる」と、みるみるイメージを膨らませていった。海外渡航者にもすぐに打ち解けてくれるフレンドリーなフィジー人だからこそ、オンラインのコミュニケーションで、緊張しがちな留学が友人に会いにいくような温かいイメージに変わる。なるほど、これならコロナショックで渡航できない期間が長引いても、留学意思が揺らぐことはないだろう。さらにクチコミで留学希望者が増える可能性も見えてくる。必要なのは「オンライン英会話」ではなく「オンラインコミュニケーション」だ。

 そこで、多田代表は4月留学を予定していた15人の留学生と現地講師をオンラインでつなぐことにした。さらに、一人ひとりの個性にあったコミュニケーションプログラムをつくり、日本人スタッフも介入することにした。多田代表が目指したのは「フィジー滞在のバーチャルリアリティー(VR)体験」であり、これによりフィジー留学がさらに楽しみになるはずと自信を深める。

 フィジーには、国民が非常にフレンドリーで、海外が初めての日本人でもすぐに溶け込める魅力がある。多田代表はその魅力をクローズアップすることで、英会話初心者はもとより、留学で人生をアップデートしたい一時退職者の留学先としても人気を集めてきた。最近は海外での就職を希望する留学生も現れ、多田さんは海外就職の仲介会社と連携し、英会話学習だけにとどまらないグローバル人材教育へと事業の幅を広げてきている。

 新型コロナ終息後の構想を明るく話す多田代表に安心するのと同時に、今後の活動が楽しみになってきた。

殿村美樹(とのむら・みき)
一般社団法人地方PR機構代表理事。1961年京都府生まれ。外国語大学を卒業後、広告代理店勤務を経て1989年にTMオフィスを創業。地方と文化のPR戦略に特化した事業展開で「今年の漢字」「佐世保バーガー」「ひこにゃん」「うどん県」などを発案・PRを手掛けた実績がある。2019年に地方PR機構を発足し、代表理事に就任。政府の「全世代型社会保障に関する広報の在り方会議委員」や公益社団法人日本パブリックリレーションズ協会理事を務める。著書に「ブームをつくる人がみずから動く仕組み」(集英社新書)、「武将たちのPR戦略」(ワニブックスPLUS新書)などがある。

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