新型コロナに勝つ!中小企業の現場から

留学エージェント VR活用で「コロナ後」も視野 地方PR機構代表 殿村 美樹

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 新型コロナウイルスの猛威が止まらない。こと経済面の打撃はリーマン・ショックや東日本大震災の比ではない。経済を回す「ヒト・モノ・カネ」のうち、「ヒト・モノ」が世界中でストップし、しかも先が見通せないというとんでもない事態だ。特に中小企業経営者にとっては、真っ暗な闇にいきなり突き落とされたようなものである。

 そんな中、私が代表理事を務める一般社団法人・地方PR機構(大阪市)には連日、様々な相談が寄せられる。「こんなご時世にPR?」といぶかしく思った方も多いだろうが、私が提唱するPRは一般的にイメージする「安い広告」ではない。組織を取り巻く社会(ステークホルダー)を具体的に分析し、刻々と変わる世情と照らしながら、マスコミに限らず、ビジネスパートナーや地域など必要なステークホルダーにタイムリーなコミュニケーションを仕掛けるもので、経営戦略といっても過言ではない。よって地方PR機構にはこの独自戦略を求めて入会する中小企業経営者が多い。そんな彼らがコロナショックで未曽有の困難に直面しているのだ。一緒にこの難局を乗り切るしかない。

留学先のフィジーが都市封鎖に

 私は、アールイーカンパニー(大阪市)の多田祐樹代表取締役から3月21日、連絡を受けた。「予約していたコンサルをキャンセルしたい」という多田代表からのメールだった。同社は、南太平洋のフィジー共和国教育省の認定を受け、現地で2018年に開校した日本人向けの英会話学校「COLORS(カラーズ)」を運営している会社だ。多田代表はフィジーと日本を行き来し、これまで数百人の日本人をフィジー留学に導いた実績をもつ。

 新型コロナの影響はフィジーに飛び火し、多田さんがフィジー滞在中の3月19日に、現地で新型コロナの感染者が判明。ロックダウン(都市封鎖)が発令され、空港が閉鎖されてしまった。多田さんや留学生たちもフィジーから出られなくなってしまった。

 メールの文脈から尋常でない雰囲気を感じ取った。「大丈夫だろうか」。心配をかき立てるように、報道から刻々と海外のロックダウンに関する情報が伝わる。心配ばかりが募る中、SNSでようやく多田代表の帰国を知った。事情を察してしばらく連絡を控えていたが、ついに意を決し電話した。久しぶりに聞く声は元気だったが、半面、不安も残る。なんとか力になりたいと考え、まずは新型コロナに対するフィジーの対応を聞いた。

 フィジーは何もかもがトップダウンで動く国で、コロナ感染者が1人確認された時点でロックダウンが発令されたという。この早急さは日本人の感覚からすると理解しがたい。しかし、海外経験の豊富な多田代表は慌てず、すぐに大使館や航空会社と連絡を取り合い、状況を打破しようと最善を尽くす。それが功を奏し、4月3日には留学生とともに帰国することができた。しかし今回の新型コロナショックに尋常ではない恐怖を感じたという。1人の感染者の判明で都市が封鎖される脅威とともに「このまま海外ビジネスが続けられるのか」という不安だ。

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