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緊急事態でテレワーク拡大 社員の健康に何が起きるか 経営層のための新型コロナ対策(4) 健康企業代表・医師 亀田高志

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 改正新型インフルエンザ等対策特別措置法が成立し、新型コロナウイルス感染症・政府対策本部が設置された。そして欧米や中国におけるロックダウンに準じる緊急事態宣言が東京、埼玉、千葉、神奈川、大阪、兵庫、福岡の7都府県に対して4月7日に発令された。

 3月から外出自粛要請が政府や自治体から出され、週末の人出が少ない様子が盛んに報道されている。これらの結果、新たに在宅勤務等のテレワークを行う企業と働く人が増加している。

 1990年代から注目されてきたテレワークは、情報通信技術を活用した、時間や場所にとらわれない柔軟な働き方として、よく知られるようになった。

 昨年末までは内閣と厚生労働省が推進する働き方改革によって、テレワークは少子高齢化による労働力人口の減少に対する打ち手の一つとして注目されてきた。一人一人の事情に合わせた柔軟な働き方を実現する方策でもある。折からのIT技術の進展や5Gの展開に伴い、21世紀にふさわしい働き方を実現するというイメージが強かった。

 しかし、新型コロナの流行で否が応でもテレワークを行わざるを得ない状況が生じている。平時に積極的にテレワークを展開することと、危機に際して緊急避難的にテレワークを行うことは本質的に異なる。

 経営幹部として肝に銘じておかなければならないのは、新型コロナの流行に伴いスタートしたテレワークは短期間で終了せず、長期間に及ぶ可能性が高いことである。

新型コロナの終息は2年後が目安

 新型コロナの流行は緊急事態宣言に基づき、行政、企業、関係者がどれだけ努力したとしても、2021年末までに終息すれば比較的良好なシナリオとなる、という現実がある。

 なぜなら新しい感染症の終息にはそれに対する免疫を7割前後の人が獲得しなければならないからである。運よくワクチンが開発され、広く行き渡るか、効果が確認された治療薬を患者さんがあまねく処方してもらえる状態になるには相当の時間が必要である。

 このうち、新型コロナワクチンの開発には18か月以上かかるとする医学専門家の見方が一般的である。加えてコロナウイルスに対するワクチンの製造は技術的に特に難しいとされる。

 また、インフルエンザ等に対する治療薬が新型コロナウイルスに効果があるのかの検討がなされているが、その結果はまだ明らかではない。うまく確実な治療薬として認められ、標準的な治療として各地の医療機関で提供されるにはより時間がかかる。新規の薬剤の開発となれば、さらに長い期間を要するだろう。

 最もありそうなのは各地域で免疫を持つ人が多数を占めるようになるまで、数カ月の流行と収束を繰り返していくシナリオである。

 従って、新型コロナの流行に伴ってテレワークを始めた企業や働く人はその状態を2021年末から2022年まで継続しなければならない公算が大きい。

 テレワークには経営幹部、管理職、そして一般従業員とも慣れが必要である。また、オフィスや社外での活動が中心の働き方からテレワークがメーンとなった場合に、健康管理や人事労務管理上、考えておかなければならない課題が少なくない。

テレワークによる健康にかかわる課題

 テレワークには在宅勤務、モバイルワークに加えて、サテライトオフィス勤務が含まれる。このうち新型コロナに関連する自粛要請や緊急事態宣言では在宅勤務が中心となるだろう。

 職場の健康管理を扱う専門家の間では、IT技術やデジタル化の進展によるテレワークに対して、過去から次のような課題がよく知られている。

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