サラリーマン人生100本ノック

サラリーマン人生「前の会社との関係で悩みます」 東京工業大学大学院特任教授 北澤 孝太郎

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 またあなたの退職届を受理したら、その上司の仕事が少なからず増えるわけですから、礼節をもって処するのは当たり前のことと心得てください。まずは、口頭で相談し、引き留めをありがたく聞いて、それでも申し訳ないがどうしてもという形に持っていくようにしましょう。これが、悪意があって辞めるのではなく、あくまでも個人的な事情で辞めるのだと思ってもらう筋道です。

 ただ、新しい企業に行くのに、その企業の内定ももらっていない段階から相談するのはやめた方がよいと思います。本当に引き留める方が必死になれば、あらぬ噂を広められたり、いろんなところから圧力をかけられたりと、決心が揺らぐことにもつながりかねません。最終面接を突破してうれしくなったという場合でも、内定通知書が出るまでは何があるかわかりません。あくまでも慎重に処したいものです。

後任にも配慮する

 次に、業務の引き継ぎは、ある程度時間をかけて丁寧に行いましょう。また、退職後も何かあれば引き受けて相談に乗るくらいはしてもいいと思います。前にも述べましたが、立つ鳥跡を濁すような行為は、無責任と思われ、裏切り者と思われる一番の原因となります。

 責任のある役職者や重要案件を任されていた人は特に、後任への配慮が大切です。あなたがいなくなっても後任が困らないようにするのが引き継ぎの鉄則です。また、あなたに関わってくれた顧客の方からも、代わられると困ると思われないように、後任を紹介し、業務の道筋をつけるようにしましょう。顧客だって、あなたがいなくなることで、迷惑をかけられたら、あなたの次の人生を応援しようとは思いません。

 転職すると新しい仲間や顧客ができます。これまでの分をゼロにするのか、今の仲間や顧客があなたのサポーターになってくれ、応援者が倍になるかどちらが得か少し考えたらわかるはずです。徹底的にやりきり、今までの関係者を大切にしてほしいと思います。

 人は、別れ際にこそ、その人の性格、本性がよく現れると言います。冷たい人は冷たい別れ方をするし、温かい人は温かい別れ方をする。いつも現状から逃げているような人は、逃げるような別れ方をするし、責任感の強い人は、決して裏切らないような別れ方を心がけるということです。

 これは転職に限らず、恋愛や友人関係においても同じことです。そう考えると、結局人生は出会いと別れの繰り返しであるなら、その別れ際をどう処するかによって、あなたの人格がつくられるということでもあります。いい別れ方を心がけると、これからの人生の信用や成長につなげられるということです。これからのあなたを助けてくれる人脈にもつながることなのです。

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