BizGateリポート/経営

新型コロナ 健康経営ベースに長期戦の構えを 経営層のための新型コロナ対策(3) 健康企業代表・医師 亀田高志

記事保存

日経BizGate会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。

従業員のヘルスリテラシーは良好か?

 ところで、働く人が健康管理に関する正しい知識を持って、これを実践できる力は「ヘルスリテラシー」と呼ばれ、職場の健康管理の専門家が重視している。

 新型コロナに対するヘルスリテラシーが優れているのであれば、例えば正しい手洗いが適切なタイミングで実践できる。マスクが万能ではないことも理解しているだろうし、その装着や廃棄も間違いがないはずである。

 しかしこれらの行動は、教えられなければできない従業員が少なくないのではないか。

 この点も健康経営優良法人の認定基準には明示されている。

3.制度・施策実行→(2)健康経営の実践に向けた基礎的な土台づくり→ヘルスリテラシーの向上→(5)管理職又は従業員に対する教育機会の設定
 管理職や従業員に対し、健康管理の必要性を認識し、必要な健康保持・増進に係る知識(ヘルスリテラシー)の向上のための機会を設定しているかを問う
【研修/情報提供の内容】→感染症予防対策

 2月下旬に、某経営者団体で健康経営を話題とする講演を行った際に、アドリブで新型コロナ対策を解説し、参加者の方々に正しい手洗いに関してデモンストレーションを行い解説した。その際、「ええ?こんなに丁寧に時間をかけるのか!」という声が上がった。ちょうど良い機会であったので、自社に戻ったら従業員の方々に教えてほしい、と付け加えた。経営者自らが正しい手洗いを教えてくれれば、従業員はリテラシーとして実践できる可能性が高いからである。

 産業医等による新型コロナに対する教育や情報提供は良好であろうか?従業員の方々に正しいスキルは定着しているだろうか?

 新型コロナに対する治療薬の開発やワクチンの実用化が実現するにはまだ時間がかかると思う。けれども、従業員に対するヘルスリテラシーの強化に努めることで、感染や発症を最小に留める可能性がある。

 健康経営とは「経営」を行うことであって、健康管理を労働安全衛生法令で求められるコンプライアンスとして眺めることとは違う。健康経営を実践するメリットは経営的な関心を維持するだけでなく、その実効性と継続性を高めることに役立つ。

 新型コロナは経営的な危機としての本当の姿をあらわにしつつある。

 自社が健康経営をうたい、行っていると考えるのであれば、企業幹部として、これを機会にその内容を精査し、新型コロナ対策に生かしていただければと考える次第である。

※「健康経営(R)」は、NPO法人健康経営研究会の登録商標です。

亀田 高志(かめだ・たかし)
株式会社健康企業代表・医師。1991年産業医科大学卒。大手企業の産業医、産業医科大学講師を経て、2006年から産業医科大学設立のベンチャー企業の創業社長。2016年に退任後、健康経営やストレスチェック活用のコンサルティングや講演を手がける。著書に「【図解】新型コロナウイルス 職場の対策マニュアル」(近刊 エクスナレッジ)、「健康診断という病」(日経プレミアシリーズ)、「課題ごとに解決! 健康経営マニュアル」(日本法令)、「改訂版 人事担当者のためのメンタルヘルス復職支援」(労務行政研究所)などがある。

閲覧履歴

    クリッピングした記事

    会員登録後、気になる記事をクリッピングできます。