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新型コロナ終息気分? 中国「リベンジ消費」に沸く 中国市場戦略研究所(CM-RC.com)代表 徐向東

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 中国では、新型コロナウイルス感染が終息しつつあるように見える。多くの地域では、新規感染の報告がゼロとなり、仕事も生活も通常に戻り、繁華街はごった返しの日常に戻りつつある。

 3月8日のネット通販の販促イベント「女王祭」は大盛況だった。3月8日は国際女性デー。4年前から、中国の通販最大手のアリババは、この日を女王祭と命名し、有名なダブルイレブン(11月11日の独身の日)のような大きな販促イベントとして育てようとした。今年の女王祭は過去4年で、最大規模の売り上げを達成した。昨年の女王祭より売り上げを倍増したブランドアイテムはざっと2万点ほど数えるとの報告もある。

 これは、外出がまだ少ないからネットでの買い物が増えたという理由のほか、「リベンジ消費」が起きたためでもある。

■育児・スキンケア商品、春節前の10倍の問い合わせ

 1月末の春節の連休に入った直後にウイルス感染が拡大し、その後は1か月以上も自宅への閉じ籠もりが余儀なくされ、化粧品や日常生活用品がほとんどなくなった。こうした突発的な事態から、化粧品や生活用品は緊急事態に備えてある程度の蓄えが必要だ、という発想も生まれた。

 2月には宅配がほとんど止まったこともあって、3月になってから中国のオンラインショップの1日あたりの荷物発送量は2月より3倍増で急速に増えている。

 女王祭の間に、オンラインショップへの問い合わせも殺到した。問い合わせが一番多いのは、育児、スキンケア、ヘルスケア、医薬品そして食品などだ。その数は1か月前の春節の時の10倍ほどである。

■海外の感染拡大で中国市場に輸入化粧品の品薄懸念

 さらにもう1つは、海外でのウイルス感染拡大のニュースが日々増えてくると、これまで愛用している海外の化粧品や生活用品は「手に入りづらくなくなる」「値上がりする」といったような不安が起きている。このような不安は、輸入品や越境EC(電子商取引)の売り上げ増につながった。

 エスティ・ローダーの新商品は、女王祭の前夜祭予約販売で1日3万本も売り上げ、女王祭の全店舗売り上げは約16億円を超えていた。

■毎日マスクで日本の美肌シートが急増

 越境ECの売り上げも上がっている。中ではやはり日本商品の人気が高い。弊社の上海オフィスがかかわっている日本の美肌シートマスクは、女王祭の間にも売り上げが伸びた。

 感染を防ぐマスクは毎日つけっぱなしなので、メークアップしなくなった人が多い。「だからこそ美肌のシートマスクを使ってしっかりとスキンケアをしよう」と訴えたのが、消費者の心に響いた。

 日本在住のバイヤーも中国国内のこうした動きを敏感に察知していて、最近SNS上にアップする情報は、殺菌消毒商品から、徐々にスキンケアやサプリメントなどに切り替えつつある。

 そんな中、3月12日に「異変」が起きた。ウイルス感染の「逆輸入」を封じ込めようとする中国は、海外からの飛行機を制限したため、日本から中国へのEMS(国際スピード郵便)が急にストップしてしまったのだ。

 それでもめげないのは、中国人のバイヤー。

 Fedex、DHL、中国系の宅配会社などを活用しながらも、中国への郵送ルートを何とか確保しようとしている。

 まさにピンチがチャンス。

 日本では、中国からの観光客の足が遠のき、旅行会社、ホテル業界から美容クリニックまで、人手削減の波が押し寄せている。日中間の人の行き来が止まり、在宅勤務を続いている日本の会社も多い。

 こんな中では、ただひたすら状況の回復を待てればいいでしょうか。

 答えはノーだ。

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