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チャットで生産性向上 テレワーク先駆企業5つの策 石倉秀明・キャスター最高執行責任者に聞く

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「早い意思決定」を企業戦略に生かす

 テレワークで誤解されているのが「上司が見ていないと部下はさぼる」という点だ。しかし仕事をサボる人の94%は、導入前の上でもサボる癖がある社員との調査結果もあるという。むしろ企業としては働き過ぎを警戒すべきと石倉氏は語る。

 仕事とプライベートの境界があいまいな分、目標設定が達成していない段階で仕事はやめにくい。経営者としては細かい割増賃金の設定や半月単位での社員各自の残業時間の把握が求められるとしている。

 テレワークが採用面で有効に働くのはよく知られている。キャスターも国内45都道府県から採用している。人事面接もオンラインで進めるため迅速に低コストで人材を確保しやすい。石倉氏が強調するのは「経営の決定スピードを高められる」という点だ。

 例えば、キャスターは昨年、オンラインフィットネスを導入した。テレワークでは運動不足になりがちなスタッフも出てくるからだ。ログインすればプロのトレーナーがウェブ会議場であれこれ指導してくれる。この案件は発案から導入まで約30分で決めたという。さまざまな案件の承認はチャットで行うことが多く、役員会は毎週約1時間開催する。「ほとんどが新規事業などの議論に費やしている」という。テレワークは、以前から海外市場で指摘され続けている「意思決定の遅さ」という日本企業の弱点を補う有力な武器になりそうだ。

 テレワークでは社員の通勤負担などが軽減されるため業務の効率化がはかりやすい。ただ石倉氏は「テレワークはあくまでオフィスの延長。何でもできるというのは間違いだ」と注意を促す。ただちに個々の社員の成長が期待できるというものではないという。

 その一方で、テレワークは仕事のできる、できないが可視化されるのが特徴。「成果は出していないがやる気十分という社員は評価されづらくなる」と石倉氏は指摘する。テレワークが長期化すれば人事制度の見直しも必要になってくるだろう。

 新型コロナの感染防止で十分な準備も無くテレワーク導入を余儀なくされた企業は少なくない。その一方で「テレワーク導入のメリット・デメリットを個々の企業ごとに判断できるチャンスでもある」としている。

(松本治人)

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