新型コロナウイルス対策で、GMOインターネットなど在宅勤務をスタートさせる企業が増えてきた。日本の企業社会にも今後テレワークが急速に定着していきそうだ。しかし、実際に導入した企業からは「在宅勤務は想定していたより生産性が低い」といった声も聞かれる。2014年設立のキャスター(宮崎県西都市)は、当初からテレワークを導入している、この分野の先駆的な企業だ。石倉秀明・最高執行責任者(COO)に企業トップが心がけるべきポイントを聞いた。
(1)新社員らの環境整備はきめ細かく
(2)生産性上のポイントは「雑談チャット」
(3)労務管理で警戒すべきは「働き過ぎ」
(4)「早い意思決定」の活用を
(5)テレワークに幻想を抱かない
■セキュリティー対策の徹底を
キャスターは企業の管理部門支援を手掛け、オンラインを使った在宅派遣サービスやテレワーク導入支援などを幅広く手掛ける。半年ほど一緒に働いてから、初めて同僚の居住地を知ったというケースも少なくないという。東京にもメーンの拠点を持ち、同社の社員・スタッフは約700人に上る。社員に接しない分だけ業務管理は苦労が多そうに映る。
しかし石倉氏は「プロジェクト別など十数人のチームに分けて把握するので、人数の多い少ないは、リモートワークに関係しない」と言い切る。ただ新入社員向けなどに仕事環境の整備は細かい気配りが必要になると話す。
同社では、勤務時間はクラウド勤怠管理システム、業務連絡にはビジネス向けチャットツール、会議にはオンラインビデオツールを利用する。石倉氏は「多くの企業では1文を追加するレベルだが、非常時で働く場所の規定など就業規則の変更も必要になる」と指摘する。情報を漏らすのは基本的に人間なので、セキュリティー対策で必要なのは社内教育の徹底だ。テレワークではパスワード管理がポイントになるという。