長島聡の「和ノベーションで行こう!」

日本を再発見する世界一のブランドへ「魅力はもともとある」 第34回 ディスカバー・ジャパン 高橋俊宏 社長・統括編集長に聞く

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長島 「Discover Japan Concept」はそれをコンサルティングサービスに展開したものでしょうか。

高橋 電通と協業して始めた「Discover Japan Concept」は、企業や自治体の発想を日本古来の考え方をもとに支援するサービスです。Discover Japanの連載「極意採集プロジェクト」で、日本の伝統文化や伝統工芸の中で時代を超えて受け継がれてきた方法論のうち、現代のイノベーションに寄与するものを発掘・収集していましたが、そのレシピを企業や自治体などに提供します。

長島 日本古来の考え方をもとに、イノベーションの方法論を見つけ、それを解釈・表現して伝えて、組織の力にするためのサービスですね。

高橋 僕たちは、日本に古くから伝わる本当にいいものを今に生かすためにメディアをつくってきました。古いものには価値がある、発想を変えるだけで今こそ武器になると思いますし、使い方まで指南したいと思っています。世界で戦うために日本でしか生み出せない新規事業や開発ができると信じています。

クリエーティブな人たちを巻き込むと、質の高い地域活性化ができる

長島 次に、地方創生や、地方経済の活性化の支援活動についてうかがいます。『Discover Japan』のコンセプトは日本古来の良いものを再発見することですが、その一環として、地方や地域に対する、まとまったご支援をされています。どんな特徴がありますか。

高橋 市町村など特定の自治体を、あるいはプロジェクトによってはある地域を支援しています。さきほどの出雲崎の例のように、クリエーティブな人たちを巻き込んで、質の高い地域活性化を行います。

 最近の例は、岐阜県飛騨地方の高山市です。5~6年にわたり市長直轄の経済観光アドバイザー会議のボードメンバーとして、年に4回にわたり、ブランディングに関する会議やディスカッションなどに参加しています。そこから派生して、「飛騨高山ものづくり実践塾」という、ものづくりの若手を盛り上げるための組織を市が作るためのお手伝いをしています。

 この実践塾では、カリスマバイヤーの山田遊氏に講師となっていただき、セミナーやディスカッションを行いました。山田さんは資生堂の店舗や、羽田空港のTokyo's Tokyoというお店をつくったり、国立新美術館の地下にあるミュージアムショップをつくったりした人で、彼に世界的に売れているものや、その売り方について講習をしてもらいました。

 ONESTORYという地域創生の会社と協業して「DESIGNING OUT(デザインニングアウト)」という地域支援活動も行っています。第2回では、建築家の隈研吾さんに協力いただき、輪島塗りで知られる石川県輪島市の支援を行っています。

 日本には、漆器の産地がたくさんありますが、輪島塗には、うるしを塗る工程が多く、独自の下地剤を用いるという特徴があります。旅館が輪島塗の器を使うことが多いのは傷に強いからで、輪島でしか採れない珪藻土を塗り込んで強度を高めています。

 でも一般消費者は、輪島塗の製造工程を知りませんから違いも分かりません。

長島 最後の完成品しか見ていないですから、やむを得ないところはあります。

高橋 そこで隈氏の協力によって、製造工程をわかりやすく示すため、6枚セットの器をつくりました。1枚目は無垢(むく)の木の器、次の2枚目は下塗りを施した器などと、工程を順番に見せるコンセプトです。6枚目が完成品で、それを、富裕層をターゲットにしたダイニングアウトというイベントにて使用し、販売もしたところ、中国から来た富裕層などが購入して行きました。

長島 素晴らしいですね。製造工程が伝わります。

高橋 地方や地域を支援する際、クリエーターに協力してもらうメリットは二つあります。一つは、クリエーティブな人と協業することによって、彼らの職能により、地方や地域独自のストーリーをきちんと表現してもらうことが可能なことで、もう一つは、隈氏のように世界的に知られたクリエーターであれば話題性を呼び、情報発信がなされるということです。実際、今回隈研吾さんの協力を仰げたことにより、国際的な集客につなげることもできました。予算を掛けるのであれば、質が高く影響力のある支援を行おうという考え方です。

長島 そういうことですね。今日はいろいろなお話をうかがいましたが、いずれも、日本を元気にしたいという想いを感じました。ちなみに今、年間にどのぐらいのイベントや企画を進めていますか?

高橋 小さいものも合わせると、雑誌以外のプロジェクトだけで年間100は超えています。

長島 やっぱりそれだけ多いのですね。でも、何でそれだけの数のイベントや企画を思い付いて、実行に移して、巻き込む人もそれぞれ違います。どうやったらそこまでのことを毎年続けることができるのでしょうか?

高橋 それは優秀なスタッフがいますから。いや、本当に、本当に、そうです。また、イベントや企画のお話は相談レベルから始まって、プロジェクトになるものが多く、早い段階からお互いがチームの一員のようになります。ある地域のプロジェクトが大きくなり、別の地域のプロジェクトにつながることもあります。

長島 そういうことですね。弊社にも、「満足待ち行列」というコミッティーがありますが、同じような狙いがあります。これは、お客様を営業活動によって獲得するのではなく、パートナーあるいは仲間として、相談を受けるところを出発点にする施策で、相談が発展してプロジェクトになれば、お呼びいただくわけです。まだ、情報発信などに課題があると感じていますが、より洗練させたいと考えています。

高橋 ご指摘のように、情報発信はかなり重要です。自治体の方々などとお話しをすると、よいこと、よいものが多数あるのに知られていません。また、情報の受け取り手についても、意識が高く実行力があり、世の中を動かせる人たちにより早く伝えることがより効果的です。

 例えば、地域観光の魅力については富裕層にいち早く伝えたほうが、ブランド価値の向上により大きな成果が上がります。だから、「我々の『Discover Japan』をメディアとして、いかがですか」という話をしています(笑)。

長島 今日は、どうもありがとうございます。我々も本当にいろいろな人の力を合わせて、日本を元気にしたいと思います。

高橋 はい、ぜひ一緒に何かできるとうれしく思います。

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キーワード:AI、IoT、ICT、経営、イノベーション、ものづくり、技術、製造、経営層

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