■管理職はマネジメント力がより問われる局面
直近では、自宅以外のシェアオフィス利用も認める企業も増えている。デスクや電源などを備えてあって利用しやすいのが背景だ。富樫氏は「忘れてはいけないのが、数人で共用するため一定の距離を保つなど、不慮の感染を防ぐこと」と注意している。大手の中では社宅の一部を開放し、そこで仕事をした社員を出勤とみなした企業も出てきている
上司の立場では、部下からメール方向を受け取る際に、その日の成果をファクトベースでで把握することが有効になる。部下が離れている分、管理職は一層のマネジメント力が求められるといった声が寄せられているという。
さらに富樫氏は「問題の解決を現場の管理職任せにせず、常時人事部などで吸い上げるようにする仕組みを構築しておくことが重要になる」としている。テレワークの課題解決策を検討して横展開し、社内で共有することが欠かせない。
国や自治体がテレワーク導入支援のための新制度を相次ぎ設けている点にも注目だ。厚生労働省は3月9日、新型コロナ対策としてテレワークを新規導入する際の助成の特例を設け、申請の受け付けを開始した。中小事業者を対象に2月中旬から5月までに、テレワーク用のウェブ会議用機器からクラウドサービス、サテライトオフィスの利用料などが含まれる。100万円を上限とし総費用の2分の1を支給する。
東京都は3月6日から都内企業のテレワーク環境整備を支援する助成金の募集を開始した。テレワーク導入に必要な機器やソフトなどの経費を助成する。250万円を上限に全額助成という手厚い内容になっている。
日本テレワーク協会も、会員企業が提供する支援情報や政府の関連情報を集めたウェブページを公開し、毎日更新している。富樫氏は「テレワーク運用支援の流れは急速に拡大しているので、注意深くアンテナを張っておきたい」と話している。
(松本治人)