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新型コロナは対テロ戦 リーダーシップは多国籍軍流で マッキニーロジャーズ アジア太平洋代表パートナー 岩本仁

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 新型コロナウイルス感染症の拡大に備え緊急事態宣言を発令できる新型インフルエンザ等対策特別措置法改正案が3月13日にも成立する。宣言が発令されれば、施設の使用などが制限される。こうした「歴史的緊急事態」に際し、企業のリーダーはどうあるべきか。軍隊のノウハウを応用した組織運営などを助言する英コンサルティング会社、マッキニーロジャーズでアジア太平洋代表パートナーを務める岩本仁氏に寄稿していただいた。

状況変化のなかで見えない敵と戦う

 新型コロナウイルスの難しさは、問題が健康被害にとどまらない事だ。見えない敵と刻一刻変わる状況という特異性が経済にも深刻なダメージを与えている。特措法の成立により緊急事態宣言という未体験ゾーンも視野に入れる必要が出て来た。入国規制やオリンピック・パラリンピック開催の是非といった複雑な国際関係も絡んでくる。実は、多国籍軍が作戦を遂行している中東やアフリカの紛争地帯は、テロリストという見えない敵と、宗教対立や利権争いによる状況変化という点で、新型コロナ問題と多くの共通点がある。当事国政府の協力と国際協調が不可避な点も同じだ。複雑な環境下で、新型コロナ以上に命の危険がある戦争に勝つ為に30年以上かけて開発された軍隊式マネジメント手法をミッションリーダーシップと呼ぶ。コロナ対応で指揮を執る企業幹部の参考となるのではないか。

「顧客の信頼守る」など簡潔明確なミッションから逆算

 元英国海兵隊将校ダミアン・マッキニーによれば「優秀なリーダーであっても常に正しい決断ができる保証はない。状況変化の激しい戦場で自分の決断に不安を感じた時は、ミッション達成から逆算する。全ての決断は生き残ってミッションを達成するための手段だ。もちろん、簡潔明確なミッションは絶対条件だ」

 兵士や民間人の死傷を最小限にすることが大前提の近代戦において、例えば「10人の人質を救出する」というミッションならば、救出後に即時撤退するという決断に迷うことはない。もしミッションが「人質を救出すると同時に敵の施設を占拠しテロリストのリーダーを拘束する」であると決断ができない。複雑な要因を整理して簡潔明確なミッションを設定することはリーダーの仕事だ。

 感染防止が大前提の新型コロナ問題に関して、例えば「顧客からの信頼を守る」という簡潔明確なミッションがあれば、仮に緊急事態宣言で強制措置がとられても、販売部門や製造部門は何をすべきかの決断ができる。逆に『顧客との関係を守り会社の売り上げ減少と従業員の収入減を最少にする』という複数の要素を含んだミッションでは、現場が混乱してしまう。ミッション達成の最終責任を取る覚悟を持てば、簡潔明確なミッションを決める時の迷いがなくなり、ミッションから逆算して決断することが可能になる。

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