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新型コロナ 流行早期に事業継続計画見直しを 経営層のための新型コロナ対策(2) 健康企業代表・医師 亀田高志

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 さて、今回の新型コロナウイルス感染症の流行は想定外の事態であっただろうか?

 もしも、想定外だというお答えだった場合に考えていただきたいのだが、同じコロナウイルスによる、2002年から2003年にかけて発生した重症急性呼吸器症候群(severe acute respiratory syndrome:SARS)と2012年にアラビア半島で発生した中東呼吸器症候群(Middle East respiratory syndrome:MERS)だ。その時に対策を検討したか?ということである。

 また、2009年から2010年の新型インフルエンザ(H1N1)の流行が終息してから自社の対応やその後の影響を検討し、BCPなり危機管理対策の見直しに生かしたであろうか?それを関係者で共有し、常にそうした情報に目を光らせてきただろうか?

 厳しい質問が続く、と感じる読者の方がいるかもしれないが、ここで挙げた質問は、会社経営や事業運営における確かさを明らかにするはずである。

 多くの企業では利益を追求し、人材不足の影響もあって、その最適化にばかり力を入れてきているように思う。しかし、最適化する事業運営は、人材、生産や物流が安定しているという前提のもとに成立する。

 上述のように一部の従業員や部下が欠勤しただけで、その影響が甚大となるような運営は日々薄氷を踏むようなものである。そういった前提に気が付いたのであれば、その前提が成り立たない状況で何をすべきかを早急に詰めていく必要がある。

 今週、新型インフルエンザ等対策特別措置法の改正に関する審議が国会で行われ、その発動が可能になる可能性が高い。

 感染する人が近い将来に日本人口の1割となり、日本の医療レベルや医療保険制度を前提に、中国等よりも死亡率が抑えられて0.1%だったとしても1万人を超える死者が出る恐れがある。だからこそ、専門家会議や各専門学会から注意喚起が出され、厚生労働省や各自治体の方々が不眠不休で対応されているのである。

 もしも、政府から新型インフルエンザ等緊急事態宣言が出された場合に事業停止を余儀なくされるかもしれない。それは数日で収まるものではないだろう。

 そうした危機的な状況が迫っていることを、企業幹部として、考えるべき状況に置かれているのである。

問われるレジリエンス、職場風土の改革カギ

 となると、企業幹部として何ができるのか、を考えることになるが、ここではBCP(事業継続計画)の発動について、確認したい。

 以下について、自社の経験を再点検してみることをお勧めしたい。

・そもそもBCPを発動したことがこれまで実際にあっただろうか?

・それも数週間に及ぶ期間であっただろうか?

・その結果を見直し、もともとのBCPに反映し、継続的な改善に取り組んでいただろうか?

 これらがもしも不確かであれば、今後3か月を目安に起きる一部の従業員が働くことができないシナリオを関係者でよく協議するのが良いと思う。

 自社の生産やサービスにどのような影響が及ぶだろうか?物流はどうだろうか?

 海外との行き来も外国政府による日本からの入国制限によって、既に妨げられている。

 そして、考えられるシナリオごとに代替手段等を関係者で検討するのである。専門家に頼るのではなく、自社の関係者で予想される影響が現実になった場合に、それを最小化するのにできる手立て、選択肢を可能な限り考え、できる準備を一つずつ行っていくのである。

 職場のメンタルヘルスの専門家は惨事ストレスと呼ばれる危機的な状況からの精神的な立ち直りの良さを『レジリエンス』という英語で表現する。同じように会社組織がダメージを受けた際に立ち直ることができるかどうかも、レジリエンスと言い表すことができる。

 各社のレジリエンスが新型コロナへの対応で試されているのである。

 働き方改革でテレワークや時差出勤、サテライトオフィスの活用等が取り上げられ、そうした制度や導入が感染の機会となる人混みを避けるのに有効と好意的に報じられている。

 実は筆者はそうした見方に懐疑的である。というのは、こうしたケースは実態としては極めて少数派であろうと考えるからである。

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