日経SDGsフォーラム

木から始まるSDGs 環境保護、自然体で

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 木が生い茂り林となり、そして月日を経て森林が生まれる。適度に管理された林や森は良質な水を生み、気候変動の要因とされる二酸化炭素(CO2)を吸収、固定化して地球を守る。軽量で加工しやすい木材はわたしたちの生活を支えてくれる。木から始まるSDGsの物語はまさに自然体だ。「未来」という字に目を凝らしてみると、どちらも「木」から成り立っているのがわかる。

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持続的な社会へ 可能性秘める森

 赤道直下にあるインドネシアの西カリマンタン州。住友林業がこの地で行う地元企業との共同事業が昨年12月にスペインのマドリードで開かれた国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP25)で紹介された。3回連続のひのき舞台で毎回、地道ながら変化の具合がわかる報告は聴衆の関心を引いている。その事業とは木材の安定供給と環境保全を両立させ、約300人が働き、地域産業に貢献していることが評価された。

 今、約11.5万ヘクタール(東京ドーム2万4000個分)の緑の絨毯(じゅうたん)の下には、枯れた植物が水中に堆積してできる泥炭地が広がっている。乱開発や泥炭火災によって土壌中のCO2が放出され、国際的にも問題となっていた。

 住友林業は2010年から徹底した土壌・水位管理のもと植林、育林活動を開始。希少な動植物の生息地が孤立しないように緑の回廊も残す一方、生産林地区を設けて4年前からは計画的に伐採できるまでになった。

 そこでは住友林業が長年、培ってきた森林経営の知見が生かされ、林業を中心に産業を興した。伐採した木を製紙会社が購入。持続可能な林業経営から生まれた木材だから製紙会社も持続可能な社会の輪に加われる。泥炭管理に悩むコンゴや国際的な環境保護団体などからの視察も相次ぐ。

 CO2の排出削減を巡る取り組みは新たな段階にきている。木から始まるSDGsは削減ではなく、もっと踏み込んで減らす可能性も秘めている。木の成長期にCO2を吸収して固定化して炭素の塊にするだけにとどまらない。

 軽くて加工も運搬もしやすい木は加工、物流時に発生するCO2が、鉄や石油由来の原材料と比較して圧倒的に少ないからだ。

 地球・社会資本の一部として存在する森林は環境への大きな貢献だけでなく、資源としても優れている。上手に管理すれば植林、育林、収穫の循環ができあがる。まだまだ生かし切れていないのが木なのだ。

 人間社会の営みと地球環境の調和が崩れている今、未来を先食いすることなく、歴史を守り、現在の恵みによって持続的で豊かな社会を作り上げていくべきだ。(編集委員 田中陽)

地球に抵抗力・復元力・耐久力を――

 SDGsを基軸にした経営を推進するために昨年から始まった中期経営計画には財務的な側面だけでなく、SDGsの考えを組み込みました。5つの重要課題(持続可能性と生物多様性に配慮した木材・資材調達の継続、安心・安全で環境と社会に配慮した製品・サービスの開発・販売の推進、事業活動における環境負荷低減の推進、多様な人財が能力と個性を活(い)かし、いきいきと働くことができる職場環境づくりの推進、企業倫理・ガバナンス体制の強化)を設け、細分化した15項目すべてに数値目標を掲げています。

 例えば認証材、植林材など当社が考える持続可能な木材を現行(89%、19年度)から21年度には100%に。バイオマス発電など再生可能エネルギー事業における電力供給量を同様に21万8000世帯から1.7倍の37万4000世帯にします。中計の初年度が終わりを迎えていますからその進捗状況も近く公表します。

 住友グループには「確実を旨とし浮利に趨(はし)らず」という事業精神があります。また「自利利他公私一如」(住友の事業は住友を利するとともに、国家を利し、かつ社会を利するものであるという考え)を重んじ、社会性を持って事業を発展させるべきだと説き続けていて、SDGsの考えが根底にあります。

 今こそ、世界中で起きている異常気象に地球は抵抗力、復元力、耐久力を持たなくてはいけません。

 木を使い、森を作って守る。木を活かし、未来をつくる。幅広く林業に携わることが私たちの役割です。

キーワード:経営・企画、経営層、管理職、経営、営業、技術、製造、プレーヤー、経営、CSR、CSV、ESG、環境問題、SDGs

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