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新型コロナ イベント開催の是非どう判断するか 経営層のための新型コロナ対策(1) 健康企業代表・医師 亀田高志

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「開催の必要性を改めて検討」はなぜ本質か

 冒頭に戻るが「開催の必要性を改めて検討」というのは実は本質を突いていると思う。

 というのは、定期的に行われていることの目的が霧散して手段の目的化に陥っている状況に枚挙に暇(いとま)がないからである。筆者は職場の健康管理を四半世紀以上手掛けてきたが、そのニッチな分野ですら、手段の目的化が目に付く。

 そもそも、開催を悩むビジネスイベントを「なぜ行うのか」が常に熟慮され、日ごろから各イベントの効果検証を定量的に行っているだろうか?少子高齢化に伴う人手不足が叫ばれて久しいが、新型コロナウイルス感染症を契機として、各イベントをなぜ実行するのか、その絶対的な必要性を再検証することもできる。

 また、延期後の開催や停止したサービスの再開の判断を「どのように行うのか」を中止と延期と並行して検討しておかなければならない。

 これは特定の事業を開始した場合の「出口戦略」を考えておくことに似る。出口戦略がない企業では例えば後継者がいないとか、赤字の事業が止められないといった事態につながる。

 流行が今後拡大してもいずれ流行が収まり、厚生労働省やWHO(世界保健機関)から終息宣言が出されることになるだろう。その後に延期したイベントの開催を慎重に決定することはできる。

 しかし、7月から東京オリンピックが始まることと相前後して、自社のビジネス上のニーズが看過できないタイミングを迎えている状況で、さらに流行の第二波、第三波に襲われてたいたとしたら、中止、延期の判断をどのように変更・修正するのか。

 難問だが早めに検討しつつ新型コロナウイルス感染症に関する更なる情報収集を心掛けなければならない。

 今のところWHOでもCDC(アメリカ疾病管理・予防センター)でも新型コロナウイルス感染症に関して一律にイベントを中止すべきだとの見解は示されていないようである。

 参考までに2009年から10年の新型インフルエンザA(H1N1)pdm09によるパンデミックの際にECDC(ヨーロッパ疾病管理・予防センター)から公表された報告書でも公的な集会や国際的なイベントの中止はその根拠が弱いものの、効果が不明確で直接、間接のコストが高い。また国民には中止を期待されるが、法的な裏付けが困難で、イベントのそのものの定義が難しい、とされている。

 政府・行政から自粛要請がなされない限り、新型コロナウイルス感染症に関連して自社のビジネスイベントの中止、延期あるいは決行において、絶対的なよりどころとなる根拠はない。しかし、様々な側面から検討し、今後の予測も盛り込みながら、適切な判断を下していくことが、経営幹部に今まさに求められているのである。

(参照)ECDC TECHNICAL REPORT, Guide to public health measures to reduce the impact of influenza pandemics in Europe:‘The ECDC Menu’, European Centre for Disease Prevention and Control, September 2009 

亀田 高志(かめだ・たかし)
株式会社健康企業代表・医師。1991年産業医科大学卒。大手企業の産業医、産業医科大学講師を経て、2006年から産業医科大学設立のベンチャー企業の創業社長。2016年に退任後、健康経営やストレスチェック活用のコンサルティングや講演を手がける。著書に「健康診断という病」(日経プレミアシリーズ)、「課題ごとに解決! 健康経営マニュアル」(日本法令)、「改訂版 人事担当者のためのメンタルヘルス復職支援」(労務行政研究所)などがある。

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