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仕事のできる50代が「できないこと」にあえて挑戦すべき理由 トレノケート シニア人材教育コンサルタント 田中淳子

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 前回は、50歳を過ぎて活躍するために「子どもの頃からやってみたかったことなどを思い出して取り組んでみたら?」といったが、「いつかやってみたかったこと」などない、という人もいらっしゃる。だから、今回は、別の提案をする。「やったことがないこと」「できないかもしれないこと」「関心がなかったこと」「避けて通っていたこと」・・・そういうことを仕事の中で見つけて、意識的に取り組んでみるのだ。

 ある40代の管理職Aさんがこの前、面白い話をしてくれた。

 「中年になると、なぜか、皆、ランニングを始めません?ボクの周囲には、マラソンをやっている人が多いんですよね」

 確かに!

 私とフェイスブックでつながる人たちが、やたらと走り始めるのは、だいたい40代以降だ。最初は、時間に余裕ができるから、あるいは、中年太り解消のためと思っていたが、Aさんは、こういう。

 「ミドルにもなると、“できない仕事”がほとんどなくなるじゃないですか。でも、人って、“できないこと”を見つけたいんじゃないかな。走ってみると1分も続かないとか、5キロも走れないとか、自分の能力のなさに気づく。仕事では味わえない、“できない”“苦しい”体験ができる。それもあって、みんな中年になると走り始めるんだと思うんです」

 なるほど。それもあるかも。

50代になっても人は“できないこと”を見つけて成長したいと思うもの

 走ると自分の能力の低さに気づくが、練習していると少しずつ走ることができる距離が伸びたり、タイムが良くなったりする。そのうち、競技会に出場し始め、目標を持ち始める。最初は完走だろうが、次は〇時間◎分以内のタイム――などだ。そうやってクリアしたいポイントを設定して、ひたすら努力する。

 自分が楽にいられる場所・領域を「コンフォートゾーン」という。コンフォートゾーンは、温かい湯に浸かっているようなもので、なんとなく居心地がいい。しかし、いつまでもそこにいると、「このままでいいのか?」と焦り始める。「つまらない」とも思い始める。「コンフォートゾーンから抜けなければ」と思う。

 どうやら、ランニングを始めた人たちは、このコンフォートゾーンから抜け出るための手段として自らに走ることを課している場合があるようなのだ。

 苦しいし、痛いし、大変だけれど、伸びていく自分!――そうした自分を求めて、走るミドルは意外に多いのかもしれない。「走る」は一例で、ミドルになって苦手な英会話に取り組む、なども同じだろう。

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