日経ソーシャルビジネスコンテスト関連特集

アフリカの衛生向上、ビジネスで挑む 途上国支援の夢追求 サラヤ海外事業本部課長補佐・森窓可氏に聞く

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 ソーシャルビジネスの実現は一筋縄ではいかないものだ。特に海外支援は、支援だけに終わり、なかなかビジネスに結実せず、支援する側もされる側も徒労に終わることが少なくない。そんな中、ソーシャルビジネスのトップランナー企業のサラヤでは、アフリカにおける医療衛生、公衆衛生、食品衛生分野で確実に成果を挙げている。その最前線で活躍する海外事業本部課長補佐の森窓可氏にBOP(base of the economic pyramids)の実際を聞いた。

―― 今、サラヤで、東アフリカのプロジェクトに取り組み、1年に何度もアフリカ諸国を行き来していらっしゃいます。会社からのミッションは何でしょう。

 2013年にサラヤにBOPビジネス推進室が立ち上がるということで入社しました。途上国での貢献は子どものころからの夢でした。

 サラヤは関西の会社だからなのか「やってみなはれ」の精神です。「開拓の場は永遠にある。我々が授かった力の限りをもって之を開発し、世の為に働こう」という社訓の中の綱領に沿って、衛生・環境・健康にかかわることであれば何をやってもよい、と。

 ただ、経済発展が十分ではなく、市場がまだ育っていない途上国相手のプロジェクトなので、サラヤ単独では難しい面もあります。そこで国際協力機構(JICA)などの案件を受託しながら共同でプロジェクトを進めていくということが求められていました。私はJICAでの勤務経験がありましたので、そのミッションについては十分応えていると思います。

―― 途上国での貢献が子どものころからの夢だったとのことですが、きっかけは何だったのでしょう。

 私が小学5年生のとき、昨年亡くなられましたが、緒方貞子さんが国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)の高等弁務官として活躍されている姿が社会科の教材に載っていたのです。世界で困っている人を助けているすごい女性がいるのだと、強い衝撃を覚えました。そこには、アフリカで井戸を掘っている青年海外協力隊の写真も掲載されていました。緒方さんのようにはなれないかもしれないけど、協力隊には入れるのではという気持ちがわいてきました。それで、大学を卒業して協力隊を目指したのです。

 海外協力隊にはいろいろな職種がありまして、その中で私は教育に興味を持ったので、東京学芸大学に入り、教員免許を取りました。卒業後は念願の青年海外協力隊の入隊試験に合格し、ネパールへ小学校の教員として派遣されました。

 2年間ボランティア活動をしたわけですが、終わってみるとあまりに短かかった。途上国での課題解決には、どうしてもお金が必要なんだということも思い知らされました。また、そのお金を使ってプロジェクトを動かす自身のスキルが不足していることもよく分かったのです。そこで、ビジネススキルを身に着けたいと思い、日本国内の企業で働くことにしたのです。

 ネパールに派遣された際に、余暇でトレッキングをするチャンスにも恵まれ、すっかり山も好きになりました。そこでアウトドアメーカーに就職。その会社では、直営店の統括やブランドマーケティングやプロモーションなどの広報的な仕事などに従事しました。好きな会社だったのでそのまま長く続けることもできたのですが、もともとやりたかった途上国に貢献する仕事につきたいという思いが再び首をもたげてきたのです。その準備のためJICAで1年間の臨時職員に就くことにしました。

 JICAには隊員の帰国後の進路を支援をする部署があって、そこの所属になりました。私は運よく派遣後もやりたい仕事に携わってきましたが、多くの隊員は派遣後の進路に不安を持っているようです。2年間はボランティアであり、その経験を生かしたその先の就職先が得られるかどうか保証がないからです。そこで、帰国後の就職のためのトレーニングなどを、JICA本部で初めて企画、実施しました。

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