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セブンペイ、リクナビ……デジタル経済の死角 失敗学に学ぶ「失敗しないビジネス」(3)

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 リクナビ問題 19年10月に就職情報サイト「リクナビ」を運営するリクルートキャリアから就活生の「内定辞退率」予測を企業側が購入していたことが判明した。購入した37社は、トヨタ自動車や三菱商事など大企業が大半を占めた。政府の個人情報保護委員会は行政指導に踏み切った。人生を左右する就活で不利に扱われかねず、保護委は「利用企業の責任も重い」と判断した。

 ビジネスモデルとしては人工知能(AI)システムを駆使して辞退率を予測するなど最新技術を駆使した洗練されたものだった。しかし個人情報の保護という視点が欠けていた。

 飯野氏は「弁護士らと事前に綿密に相談して制度設計すればトラブルは避けられたケースだ」と計画不良を指摘する。実際は志望学生とのコミュニケーション不足も露呈した。勝手に辞退率を出された就活生は約2万6千人。各社は「採用の合否には使っていない」としているが、自社を志望する学生の個人データを明確な同意なしにリクナビ側に渡して辞退率を算出させたのは「悪質」とみなされた。

 飯野氏は、計画・学習・伝達の3つは抜本的な対策が可能である一方、不良や不足を放置すれば必ずといっていいほど次のミスの原因になると警鐘を鳴らす。

 「システムのテストは、想定域を超える負荷を与えて問題なくこなしたことを確認するだけでは不十分。さらに負荷を増やして、自分たちのシステムがどういう具合に破綻するか、見極めなければならない」と飯野氏。

 ■「消費税率10%」にもシステムトラブルの危険?

 飯野氏は現行の消費税のシステム構成にも懸念を示す。標準税率と軽減税率のどちらが適用されるかの判断の難しさ、購入後の行動(食べるか、持ち帰るか)で税率が変わるややこしさなど「失敗学の観点からすればトラブルのタネを多く抱えた脆弱なシステムだ」と言いきる。「コンピューター化」イコール「システム化」ではないと飯野氏は説く。コンピューターは誤作動を起こすこともあるからだ。

 コンピューターが万能で無いことを忘れてつくったシステムは必ずエラーを起こすという。「システム化のコツはあくまで失敗やミスのしようのない方法を考えることだ」と飯野氏。ヒトと機械の得意分野を生かし合った組み合わせが求められると説く。

(松本治人)

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