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セブンペイ、リクナビ……デジタル経済の死角 失敗学に学ぶ「失敗しないビジネス」(3)

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 2020年は、キャッシュレス決済やビッグデータを駆使したビジネスが大きく進展しそうだ。その一方で、セブンペイの不正利用やリクナビ問題など、デジタル経済の深化に冷水を浴びせる不祥事も昨年から相次いでいる。失敗学会事務局長の飯野謙次氏は「日本の企業社会は以前から金融系の基幹システムが弱い」と指摘する。その弱点を放置したままでは、過去20年間と同じようにシステムの不具合を繰り返し、一般利用者の信頼を失っていくと警鐘を鳴らす。

セブンペイで露呈したシステムの脆弱性

 セブンペイの不正利用 セブン&アイ・ホールディングスは19年7月1日、スマートフォンアプリを使ったカード決済サービスを始めた。コンビニ業界最大手の本格展開として注目を集めた。しかしセキュリティー対策の甘さなどから多数の不正アクセス・不正使用がリリース開始とともに相次ぎ発覚。事実上4日でサービス停止に追い込まれ、9月30日に廃止した。セブン&アイにとっては本来、成長の柱とするデジタル・金融戦略の中心的なサービスという位置づけだった。

 飯野氏は「セブン&アイはシステム全体を的確に把握するキーマンを欠いており、リリース前の運用テストが不足していた」と分析する。そのシステムにどんな機能があれば、必要にして十分な条件を満たすかをまとめた「要件定義書」を、満足に書けていなかったとの見立てだ。ゲームソフトなどでは世界トップクラスの日本も、基幹ソフトに関しては少なくないトラブルに見舞われてきた。「日本の企業社会の弱点は、システムの発注側に情報工学系の人材が決定的に不足していることだ」と飯野氏は強調する。

 このためシステム構築を丸投げするケースが多く、発注側と受注側で緻密な情報共有ができていない。いきおいリリース期日の厳守を最優先し、運用前のテスト不足につながりやすいという。その原型ともいうべきケースが、02年の日本興業、富士、第一勧銀の大手3行が合併した直後のみずほ銀行のATMトラブルと飯野氏は振り返る。

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