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柔軟なマニュアルこそ形式知 勝手なカイゼンで事故 失敗学に学ぶ「失敗しないビジネス」(2)

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 六本木ヒルズの大型自動回転ドア事故 04年3月、六本木ヒルズ内の森タワー2階正面入口で、母親と観光に訪れていた6歳男児が大型自動回転ドアに挟まれて死亡した。男児がセンサーの死角に入り緊急停止が働かず、さらに回転ドアの重量が重いため停止動作開始後から実際に止まるまで時間がかかった。施設を管理する森ビルは都内の大型自動式回転ドアすべてを撤去した。国内の回転ドアは激減した。

風圧対策? 回転ドアの重量が3倍に

 事故当時は毎秒約80センチメートルの速度で回転していた。より素早く多くの人の出入りを可能にするための最高速度だったという。天井のセンサーも感知距離を当初の1.6メートルから40センチメートル短くしていた。

 飯野氏は「決定的なのは回転ドアの重量が当初の3倍に膨れあがっていたことだ」と話す。オリジナルの回転ドアを作製していたオランダ企業は、フレームなどに軽いアルミ材料を使い、回転部の重量は1トン以下。それが「強い風圧にも耐えられるように」「見栄えよく」などの理由で、まず骨材をアルミから鉄に変更した。さらにステンレス板で飾り、モーターやブレーキを回転部に固定した結果、当初の3倍近い約2.7トンの重量となってしまっていた。

 欧州では内外の温度差を調整するだけが回転ドアの役割だ。日本の高層ビルなどでは、冬場は建物内外の温度差で大きな圧力差が発生し、地上階で扉を開くと大量の冷たい外気が流入する。日本流に「カイゼン」していった結果、回転ドアは日欧で外見は似ていても、実際は異なるモノに発達していったという。飯野氏は「日本のマネ文化の病巣は深い。 形をなぞることに長け、没頭するため、その形がなぜそうなっているのかを考えようとしない」と厳しい。

 飯野氏は07年の大阪・万博記念公園内にある遊園地「エキスポランド」における立ち乗りジェットコースター事故も、同じようにマネ文化と検査の放置が事故を招いたとしている。乗客1人が亡くなり、多くが病院へ搬送された。エキスポランドは2年後に閉園した。

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