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柔軟なマニュアルこそ形式知 勝手なカイゼンで事故 失敗学に学ぶ「失敗しないビジネス」(2)

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 かんぽ生命保険の不適切販売問題を受けて就任した日本郵政の増田寛也社長らは、1月9日の記者会見で、成長戦略より内部統制を優先する方針を示した。企業統治の強化に向けて外部専門家を入れた組織をつくる意向も表明した。連載2回目もまず郵政グループを取り上げたい。失敗学会の飯野謙次・事務局長は不正が疑われる契約数の多さにも注目し「実情に合わないマニュアルを、現場が勝手に『カイゼン』していった可能性が高い」と分析。適正なマニュアルを作り「形式知」として現場で情報共有を徹底することの重要性を指摘している。

 日本郵政グループの保険販売 二重徴収や保険料の高い契約への転換など、契約乗り換え時に不利益を与えた可能性のある案件は、昨年12月の時点で約18万3千件。そのうち法令・社内規定違反を疑われる契約が1万2836件に上り、法令違反は48件、社内規定違反622件が確認されている。増田社長は調査対象を拡大して全容解明を急ぐ方針だ。不利益を受けた顧客数はさらに膨らむ可能性がある。

■「形式知が少ない企業は危うい。積極的に明示化を」

 企業組織は常に代謝しており、どんな優秀な社員でも最初は先輩をまねることから始まる。ただ部分的にでも記述が古いところなどがあればマニュアル軽視につながり、やがてマニュアル全体が無視されることつながる。まず優れたマニュアルが必要だと飯野氏は説く。

 さらに飯野氏は「郵政グループには形式知が少なかった」と推測している。組織には誰もが言われずとも知っている「暗黙知」と明示化した「形式知」がある。「形式知が少ない会社は危うい。自分が常識だと思っていることも、しつこく明示化するのはコミュニケーションミスを防ぐために有効だ」と飯野氏は指摘する。形式知が少ない現場は、勝手な「カイゼン」に走り大事故につながる可能性があるからだ。2004年の六本木ヒルズの回転ドア事故は、典型的なケースだという。

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