経営層のためのグローバル・マーケティング

現地任せはなぜ禁物か ダイキン中印躍進の舞台裏 明治大学経営学部教授 大石芳裕

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複合化か現地適合化か コカ・コーラ揺れ動く

 第2に、とはいえ、すべての企業が世界標準化戦略を採ることはできない。多くの企業は世界標準化と現地適合化、あるいはその中間の地域標準化(地域適合化とも言える)を模索している。世界標準化と現地適合化には表-1にあるように、それぞれメリットがあり(その裏返しがデメリットであるが)、企業はその最適解を求めて苦労しているわけである。ザ・コカ・コーラ・カンパニーが、社長が交代するたびに世界標準化と現地適合化、そして複合化へとゆれ動いたことはつとに有名である(ゲマワット『コークの味は国ごとに違うべきか』および大石芳裕『実践的グローバル・マーケティング』参照)。

 ただ、ここで理解しておいていただきたいのは世界標準化と現地適合化とを二律背反的な関係にあると考えるのではなく両者の「いいとこ取り」を追求すべきである、ということである。筆者はこの「いいとこ取り」戦略を「複合化戦略」と呼んでいるが、その具体的方策に

 これらの具体的方策は、これまた択一的なものでなく、同時に遂行できるものである。大事なことは、(1)複合化戦略を追求すること、(2)対象市場や時期によって選択すること、(3)静態的ではなく動態的に考慮すること、である。経営理念等の企業側要因を別にすると、製品別では非耐久消費財、耐久消費財、産業財の順に適合化されやすく、とりわけ食品・飲料等の非耐久消費財は文化拘束的であるので適合化されやすい。それでもコカ・コーラのような標準化製品もあるし、現地適合化の代表企業であった日清食品も2017年に「世界基軸商品」(世界標準化商品)である「シーフードヌードル」を発売している。市場別では市場規模が大きければ大きいほど、また市場の異質性が強固であればあるほど適合化されやすい。

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