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50歳過ぎて活躍するため「知力」以上に大切なこと トレノケート シニア人材教育コンサルタント 田中淳子

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 4年前、キャリアコンサルタントの国家資格を取得した。その準備でスクールに通ったとき、50代の私のほうが20~30代のクラスメイトより、面談実技の練習で会話を構成しやすいという経験を何度かして、年の功が意外なところにあると思ったものだ。資格取得後は、自分が50代半ばに差し掛かる時期であったことも手伝い、50代のキャリア開発支援に力を注ぐようになった。既に100人近くの50代のキャリア開発をお手伝いしている。

 シニアの皆さんにキャリアを考えていただく際、まず一人ひとりに「これまで」を振り返っていただく。50代には約30年にわたる仕事上のキャリアがある。今の50代は、昭和の終わりごろから始まったバブル景気という日本の絶頂期を経験する一方、当時はコンプライアンスが今ほど厳しく問われなかったこともあり、ヒドい経験もしている。たとえば、今なら絶対にパワハラ認定されるようなことを上司や取引先に言われたりされたりしたという人も多い。

 そうした山あり谷ありの経験をしているので、キャリアのお話は、同年代の私にとってとても興味深い。「ああ、そんなこともありましたよね」「きっとあの時代は、あんなことやこんなことも経験したでしょうね」と私も共感しながら、約30年のキャリアの振り返りをお手伝いする。

 話している内に、皆さんはご自分が忘れていた出来事や当時の想い、考え、迷い、選択、なども具体的に言語化できてくる。「そう言えば、あのとき、仕事上は本当にひどい目にあったけど、上司にだけは恵まれて、救われたんだったな」とか「思い切って転職してみたが、転職先で思わぬ仕事を経験することになり、それが今でも自分のコア(核)になっている」などだ。ご自分の強みや好きなこと、こだわってきた価値観なども明確になる。

 一口に30年というが、「30年」も仕事をするのは大変なことである。うれしいことも楽しいことも苦しいことも切ないことも悔しいこともある。それらを思い出した結果、これまでのキャリアを肯定的に捉えていくことがキャリア開発の出発点だ。「まずまずの人生だったじゃないか」「いろいろ挑戦してきたな」などと、自己肯定感を高めていく。

 「これまで」を振り返った後は、「これから」を考察する時間を設ける。50代は、会社においては、ほぼ最年長層だろうが、人生100時代の今は70歳くらいまで働くことも見込まれ、となるとまだ10年も20年も働く期間は続く。だから、これからどんな新しいことに取り組み、そのためにどういう知識やスキルを身に付け、より一層成長すればよいかを考えていただくのである。このとき、はたと思考が止まってしまう人が少なからずいる。

「今さら“成長”なんて!?」というシニアは少なからずいる

 以前もこのコラムで書いたように、50歳を過ぎると、仕事上での新しい挑戦やそのために新しい知識やスキルを身に着けることにあまり前向きではない人がいて、「今さら“成長”するなんて!?」と素直に疑問をぶつけられたこともあった。『いやいや、何歳になっても“成長”の余地はあるのでは?』と私は思うが、定年近くになってくると、仕事において、何か新しいことへ取り組もうという感覚はどうしても薄くなっていく。

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