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日本郵政 現場知らずの経営が招く「不正」 失敗学に学ぶ「失敗しないビジネス」(1)

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 ■本社と現場の意識が乖離した検査データ改ざん

 こうした不祥事は営業の現場に限らない。飯野氏は「本社と現場の意識が乖離(かいり)していたという点で2017~18年の大手メーカーの検査不正問題と構造が似ている」と分析する。本社が求める厳しすぎる品質基準が、現場の実情にそぐわず、不正の温床となったケースだ。

 大手メーカーの検査不正問題 2017年秋に神戸製鋼所が内外600社以上に出荷していたアルミ・銅製品の品質データ改ざんを発表した。以降、三菱マテリアルや東レ子会社、日立化成などの大手メーカーでも見つかり、製造業での「不正発覚ドミノ」が続いた。

 日本の検査レベルは高い。不正発覚後には、製品として安全に問題はないことを取引先の数社が発表した。飯野氏は「改ざんされたデータはわずかに目標未達とか強度が必要とされていない部品だったかもしれない」と推測する。現場技術者の経験則で、基準を若干下回ったとしても、事故にはつながらない。その意識が規定を軽視するようになっていった可能性は高い。それでも「企業イメージと信用を大きく傷つけ業績にも響いたことは間違いない」と飯野氏。

 飯野氏は「日本は検査に対する柔軟性が足りなかった。現在は改善されつつあるが、原発でも以前は傷が付いた部品は、程度にかかわらず、必ず修復するように決めていた。海外のように安全に問題がないもの、修復が必要なものに分類して、それぞれきめ細かく対応することはなかった」と話す。マジメに対応すればするほど検査期間が大幅に延長され、実質的ではなくなる。それが結局は基準軽視につながったわけだ。

 さらに当時の記者会見で、現場のコンプライアンス意識の低さに触れた企業トップもいた。「責任を現場に押しつけて終わらせるような組織は、体質自体に問題を抱えている。いずれ過ちを繰り返す」と飯野氏。04年からリコールを繰り返した三菱自動車のケースが当てはまるかも知れない。

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