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日本郵政 現場知らずの経営が招く「不正」 失敗学に学ぶ「失敗しないビジネス」(1)

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 企業の不祥事が後を絶たない。中でも不正な保険販売が社会問題化した日本郵政グループは、3社のトップが総退陣し、代わって増田寛也元総務相が日本郵政の新社長に就いた。「失敗学会」事務局長である飯野謙次氏は「郵政グループは過去に日本企業が犯した重大エラーから教訓を学んでいなかった」と指摘する。事故や失策を科学的に分析し、知識化して再発防止に役立てるのが失敗学だ。飯野氏は「コンプライアンス意識の欠如や組織文化の荒廃といった視点だけでは、企業トラブルの発生は防げない」と警鐘を鳴らす。

 日本郵政グループ3社の不正な保険販売 顧客に虚偽の説明をして保険料を二重に払わせるなどの不正行為で高齢者らに保険販売を行い、社会問題となった。金融庁は昨年末、かんぽ生命保険と日本郵便に新規の保険販売を対象に3カ月間の業務停止命令を出した。日本郵政の長門正貢社長、日本郵便の横山邦男社長、かんぽ生命の植平光彦社長は5日付で辞任した。

「現場を知らないノルマは必ず不正を招く」

 飯野氏は、日本郵政の長門正貢前社長らが「情報が上がってこなかった」と記者会見で繰り返した点に注目する。「現場を知らない経営者からのノルマは、必ず不正を招く」と飯野氏。同グループは収益を高めるために過剰なノルマを課していた。保険の不正販売は、かねてくすぶり続けた火種だったが、経営陣は「販売状況は改善している」とする現場からの報告を疑わなかった。

 飯野氏は「失敗学では、過度のノルマは経営層が自分たちの力量を見誤ったからと考える」と話す。そのようなサービスの売り方に走ってしまうこと自体が、十分な競争力を持っていないことの表れだという。事業と製品、サービスがよく理解できていない管理層が勝手に設定するノルマは事業の崩壊につながりやすいと指摘する。

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