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回復?低迷? どうなる2020日韓ビジネス 大東文化大・高安雄一教授&明海大・小谷哲男准教授に聞く

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 ――不買運動のインパクトは強烈ですが、効果は限定的なのですね。

 「もし韓国が、どうしても日本経済に悪影響を及ぼしたいと考えるならば、一番確実なのは自国経済を不景気に陥らせることでしょう。21世紀のグローバル経済の中では、不買運動は個人個人にとっての自己満足以上の効果は得られにくいのです」

 「韓国自身も体験しています。中国では17年に、在韓米軍の地上配備型ミサイル迎撃システム(THAAD)配備に反発して、韓国製品の不買運動が起こりました。しかし17年に韓国の対中輸出は大幅に増加し、韓国の実質経済成長率も持ち直しました」

 「原因は中国の景気回復です。中国国内で消費する製品の生産に、韓国から部品を必要としたのです。韓国からの輸入を止めれば、中国は自国経済の首を絞める結果になります」

 ――韓国側の発表では7~10月の日本の対韓輸出は、前年同期比14、0%減ったとしています。同じ期間に韓国の対日輸出は7.0%減です。

 「不買運動ではなく、韓国の輸出不振が主な原因です。韓国はGDPの4割近くを輸出で占める貿易大国です。輸出が減ると日本からの素材・部品輸入も必然的に減少します。主要な輸出先である中国、米国の景気が影響を与えています。米中貿易戦争の影響を最も受けやすい国のひとつが韓国なのです」

 ――2020年の韓国経済をどう見ますか。

 「米中貿易協議が第1段階の合意に達したことは韓国にとって良いニュースでした。今年の経済成長率は約2%ですが、20年は2.3%程度まで回復するという予測も出ています。実力的には3%ですが。カギは輸出依存率が25%を超える中国です。中国経済には通商問題、不動産価格、過剰債務問題などのリスクがあり、景気減速が本格化する可能性は否定できません」

 ――文在寅政権の経済政策はどうでしょうか。

 「文政権は公共部門で大幅に雇用を創出しています。しかし一時的な対症療法の面があり、根本的な労働市場の解決にはつながっていません。最低賃金の引き上げ率は名目で10%を超え、来年には日本の26都道府県より韓国の最低賃金が高くなる見通しです。卸・小売業を中心に、従業員数か労働時間のいずれか、または両方を減らす動きが強まっています」

 ――日本企業が、韓国マーケットを経営戦略に組み込むときのポイントは、どこにあるのでしょうか。

 「中期的にみた場合、韓国経済は(1)労組主導型資本主義(2)若者の就職難(3)急速な高齢化――などの課題を抱えています。ストライキに経営者が対抗する手段が制限されており、14年から18年の5年間でストライキの損失日数は、日本は平均1万日、韓国は91万日です。大幅な賃上げ引き上げ要求、構造調整への反対などで労働市場の硬直化が改善されず、大企業と中小企業の格差拡大が進んでいます」

韓国の若者が日本に就職へ

 「15歳から29歳までの若年失業率は10%に近く、潜在失業者も含めた体感失業率は22%に達します。企業は競争力を確保するために非正規労働者を増やし新規採用を控えます。大卒者は大企業や公務員に集中し、若者の就職がますます困難になっています」

 「高齢化は日本を上回るスピードで進みます。18年に高齢化率は日本28.2%、韓国14.3%ですが49年に逆転します。社会保障の歴史が浅い韓国では、高齢者世帯の相対貧困率が大きいとされています」

 ――日本以上に難題が待ち構えていますね。

「悪い将来図ばかりとは言えません。国際通貨基金(IMF)からは、いずれ韓国の購買力平価(PPP)ベースの1人当たりGDPが日本を超えると予想が出ています。魅力的な市場でもあるのです」

 「さらにグローバルな人材を確保するために韓国に着目するのも有力です。韓国の若者は海外留学の経験が多く英語に堪能です。就職難の続く韓国から脱出しようという動きは拡大しており、グローバル展開を促進する日本企業とマッチングが進んでいます」

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