楽しい職場学

笑う門にはイノベーション 楽しい職場の作り方 西武文理大学サービス経営学部専任講師 瀬沼文彰

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笑いとイノベーション 作り方同じ

 4つ目は、「笑いの作り方とイノベーションとの関係」を論じたい。人を笑わせるためには、大きく2つの方法がある。1つは、物事を別の角度から見ることである。もう1つは、ある物とある物を組み合わせ新しいものを作ることである。当然のことだが、ある物をそのまま見ても何も面白くないし、笑いは生まれない。また、ある物とある物を組み合わせてみても、その組み合わせ方のセンスが悪いと笑いは生まれない。しかし、それがうまく組み合わせられれば、大きな笑いが起こる可能性がある。

 誰かの言った何気ない冗談は、あるときは、単に、その場の爆笑をかっさらうだけで終わるかもしれない。しかし、その冗談の構造に注目してみると、実は、ある物を別の角度から見たり、何かと何かを上手に組み合わせたりしたからこそ、それを聞いた人たちは、おかしみを感じたのだ。

 イノベーションでも、ある物を別の角度から見ることや、ある物とある物を上手に組み合わせることは欠かせない視点である。だとすれば、まずは、冗談を生むことから始めてみてはどうだろう。何気ない冗談が、イノベーションの大きなヒントやアイデアにつながることもあるはずだ。

 ちなみに、笑いをたくさん作れればいいが、それができそうにない場合、私は、無理に冗談を言うことをすすめない。むしろ、誰かの言う何気ない話や発言のなかに皆で面白さを見つけ出していくことをすすめる。そんな面白さを見つけていく視線もまた、イノベーションを見つけるアイデアになるだろう。

笑いとユーモアのリテラシー 組織に不可欠

 競争力が問われる社会では、何らかのイノベーションを切望する企業は多いと思う。とはいえ、今日、明日イノベーションのために組織の何かを変えることは簡単なことではない。しかし、「笑いを増やそう」であれば、どの組織でもコストをかけず、リスクもとらずに、実践に変えることができる。また、本文で論じてきたように、笑いの背後にあるものに着目するとこれまで見えていなかった組織のコミュニケーションを理解することが可能だ。

 笑いやユーモアを発信したり、作ったり、見つけたりできるだけではなく、メリットとデメリットを知ること、それを踏まえ活用することという意味での「笑い・リテラシー」や「ユーモア・リテラシー」は組織の中でもっと注目・活用されてもいいはずだ。量的だけではなく、質的にも働き方改革が叫ばれるなか、笑いとユーモアの役割はこれまで以上に高まっている。

瀬沼文彰(せぬま・ふみあき) 西武文理大学サービス経営学部 専任講師
日本笑い学会理事、追手門学院大学 笑学研究所客員研究員。1999年から2002年まで、吉本興業にて漫才師としてタレント活動。専門分野は、コミュニケーション学、社会学。研究テーマは、笑い・ユーモア、キャラクター、若者のコミュニケーション。単著に、『キャラ論』(2007、スタジオセロ)、『笑いの教科書』(2008、春日出版)、『ユーモア力の時代』(2018、日本地域社会研究所)など

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