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採用力向上、「学生ファースト」徹底がカギ 特別セミナー「採用力が企業の将来をつくる」(上)

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 企業の成長を採用力が左右しています。通年採用やインターンシップの拡大など採用の多様化が進んでいるからです。2021年卒採用が本格化するなか、日経BizGateは11月12日、東京・大手町の日本経済新聞社本社で会員向け特別セミナー「採用力が企業の将来をつくる」を開催しました。採用や人材育成に詳しい専門家3人が登壇し、議論しました。

登壇者
伊達洋駆氏 ビジネスリサーチラボ代表取締役
杉浦二郎氏 モザイクワーク代表取締役社長
永島寛之氏 ニトリホールディングス組織開発室室長/人材教育部部長

入社意欲高める人事担当者に3つの共通点―――ビジネスリサーチラボ・伊達洋駆氏

 インターンシップ(就業体験)を通じた採用の早期化や通年採用も広がり、新卒採用は流動化しています。このような時期だからこそ、採用活動における原理原則に立ち返ることが重要になります。この講演ではアカデミックな知見から、候補者の入社意欲を高める「動機形成」についてお話しします。

 入社意欲を高める要因については、客観的要因と主観的要因に大別できます。客観的要因はいわゆる企業のスペックで、企業属性、報酬、福利厚生などです。主観的要因とは、候補者の心理的ニーズであるキャリア観や労働観に合致するかどうかです。しかし、就職活動を通じて候補者が得られる情報の量は限られます。企業は候補者に十分な情報を提供できておらず、候補者も知りたい情報の半分も実際には得られていないことが分かっています。

 そうしたなか私は、米国発のクリティカルコンタクト理論に注目しています。候補者は面接時に、面接官である社員を観察しながらその会社を判断します。候補者にとって面接官は組織の代表です。採用時に候補者に接触する面接官の役割が重要となる。これがクリティカルコンタクト理論の基本的な考え方です。

 入社意欲に関して、学生など仕事経験が少ない候補者は、採用活動時に会った社員などの人となりから影響を受けるが、中途採用では、仕事内容や条件から影響を受けるという研究があります。クリティカルコンタクト理論は、未就業者が短期間で入社先企業を選ばなければならない日本の新卒採用の状況に合致します。

 クリティカルコンタクト理論にもとづけば、採用は「出会いのマネジメント」だと考えられます。候補者に対してどんな社員に会ってもらった方がいいか検討するのは、採用担当者の重要な仕事のひとつです。過去の研究では(1)温かさを感じる性格(2)候補者と近い年齢(3)職務知識が豊富な社員――と接触すると入社意欲が高まることが明らかになっています。

 社員から候補者への働きかけであるカウンセリング行動も大切です。候補者の話を聞き、質問して、キャリア形成について本人に気付きを与えることを目指します。候補者本人にとって良い職業選択ができるように徹底的にサポートする「求職者ファースト」の姿勢が一見遠回りに見えて実は動機形成に最もつながります。ビジネスリサーチラボの調査でもキャリア相談にのった学生の志望度が高まりやすいという結果が得られています。

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