長島聡の「和ノベーションで行こう!」

ものづくり拠点「ファブラボ」が地方・地域経済を再構築する 第32回 慶応義塾大学の田中浩也・教授に聞く

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 まぁ、しかし、それでも、根本的な大きな変化を掲げる必要が、少なくとも大学には役割としてある。大学が大学であるゆえんだと思うからです。「ラジカル」が重要だと。

長島 問題解決の際には、イシューツリーやロジックツリーと呼ばれる手法も使われますが、ちゃんと使える人と、あまり上手に使えない人がいます。イシューツリーをあまり上手に使えない人は、イシューが30個あったら、1個ずつ解決を試みようとしがちです。

 それに対して、ちゃんと使える人は、30個のイシューがあったら、それら全体が生まれない新たなイシューを見出して解決します。そうした使い方が、大きな問題を解決する際には必要になります。それに通じるところがありますね。

田中 長島さんのように、イシューツリーに精通されている方が、バトラーカーの開発では「まず実物を製作してみよう」といった直感的な行動を行われた点は、ラジカルソリューションの観点でもすごく興味を持ちました。

 問題の構造化や分析、イシューツリーの作成など、それらはもちろん重要ですが、ある程度まで問題について考えたら、「もうつくってみるしかないフェーズ」があります。そのときは、なるべく「ラジカル」なものをつくろうと言いたい。

 問題を整理してとらえる「ロジカルな力」と、直感を信じる「妄想力」の二つは、互いに補い合う力で、その両方が社会課題のような大きな問題の解決には必要になります。

長島 そうですね。今は、前者の「ロジカルな力」が強いのかもしれませんが、それだけでなく後者の「妄想力」から取り組むと、むしろイシューがまとまって解決できることがあるはずです。取り組むイシューの順番を変えるだけで、まとめて解決できる場合もあるでしょう。

田中 仰る通りですね。このバトラーカーの取り組みで、ローランド・ベルガーという会社のイメージが変わりました。

長島 イシューを30個定義して、このイシューは誰が担当するみたいな問題解決手法が、社会課題の解決にはあまり意味がないと感じるもう一つの理由は、一言でいうと「幸せにならないから」です。世の中全体が後者の「妄想力」を重視するように変化すべきであれば、我々自身も変わらなければなりません。

田中 私も後者のほうがこれから重要になると感じているのですが、そこで慶応SFCの学生は本当に力強い。論理と直感のバランスが良いし、実行力が高い。たくさんの学生と触れ合ってきましたが、本当に優秀だと思います。若い世代を見ていると日本の未来はとても明るいと感じます。彼ら・彼女らの成長の芽を摘まないようにすることが大事ですよね。そして一緒に未来をつくっていきたい。

長島 それは頼もしいですね。本日は、どうもありがとうございました。

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キーワード:AI、IoT、ICT、経営、イノベーション、ものづくり、技術、製造、経営層

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