日経SDGsフォーラム

「激甚」自然災害 SDGsで対峙 迅速なバックアップ「保険会社の責務」

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 国連が掲げるSDGs(持続可能な開発目標)の大きな柱は環境問題だが、世界各地で自然災害が「激甚化」している。数十年に一度、ともいわれるような風水害が2年連続した日本列島も、その例外ではない。保険金の支払いなどを通じて、そのリスクを引き受ける損害保険会社はどのように対峙していくのか。

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リスク分散徹底 お客様守る覚悟

 10月15日。早朝から損害保険各社は緊張感に包まれた。3連休中に台風19号が東日本を直撃。「伊勢湾台風以来の暴風雨や洪水が想定されます」「なにより命を守る行動を」――気象庁などから再三の警告が発せられていたにもかかわらず、死者・行方不明者は100人に迫った。堤防が決壊した福島や宮城、長野など各地で深刻な被害をもたらした。

 地球温暖化の影響で、発生する台風の数が増えたかどうかははっきりしない。ただ明らかなのは海水温の変化などで大型台風の襲来が目立ち、災害が「激甚化」の傾向を示している厳しい現実だ。

 市民生活やビジネス再建のために迅速かつ確実に保険金を届けるのは、屈指の自然災害大国を本拠とする「日本の保険会社の責務」(東京海上ホールディングスの小宮暁社長)である。

 大手損害保険会社は外国生損保の買収などを通じて国際展開が最も進んだ日本の金融機関だ。その先頭に立つのが海外M&Aに2兆円超を投じてきた東京海上ホールディングス。いまや連結利益の内訳は国内外で、半分ずつとなった。

 国内と比較した、海外保険市場の高成長を取り込む狙いもある。だがそれよりもっと重要なのは保険引き受けリスクの分散だ。収益源を周到に分散させることで保険金の支払額など経営が安定し、めぐりめぐって国内の契約者や株主にも資するからだ。

 地道な「草の根」の対策も欠かせない。防災や減災につなげるための大学との産学連携を深化させるのはもちろん、小学校に社員を講師として派遣する「ぼうさい授業」はその一端だ。

 「マングローブ価値共創100年宣言」。東京海上は10月、こんな方針を打ち出した。1999年からアジア・太平洋地域9カ国の海岸線で東京ディズニーランド約200個分に相当する1万ヘクタール超の植林をおこない、推計1100億円の経済価値を創出した。

 マングローブは二酸化炭素(CO2)を吸収し、貴重な生態系を育むのにとどまらない。津波や高潮の被害から沿岸部の住民の生活を守る機能も備えているからだ。

 自然の脅威にどう対峙し、SDGsの理念を実現していくか。難局に直面し損害保険会社の存在意義が試されている。

(編集委員 佐藤大和)

暮らしや社会の非常事態 常に臨戦態勢――
 損害保険業界全体の保険金支払額が1兆7000億円と史上最大に膨らんだ2018年に続き、今年も台風15号や19号をはじめとする大規模な自然災害が相次いでいます。まずなにより被災者の皆様に心からのお見舞いを申し上げます。
 他部門の社員も含めて現地に派遣し、災害保険金のお支払い手続きを「一刻でも早く」という決意で臨んでいます。人工衛星やAI(人工知能)、ドローンなどの最新テクノロジーも活用した保険金の支払いにも取り組んでいきます。
 いまグローバルに経済社会は岐路に立たされています。気候変動や環境問題はいうまでもなく、先進国の高齢化や所得・教育格差、途上国の貧困問題……。大げさに言えば「人類」として、こうした新たな社会課題をマネジメントしていかなければならない。保険会社の経営者としてそんな問題意識を強めています。
 デジタル化が象徴する技術革新も劇的に進んでいます。暮らしが便利で快適になる半面、様々な不安も生じています。代表例がサイバーリスクです。
 「リスク自体が日々変化する」「過去のデータ蓄積が十分でない」「世界中で同時に発生する可能性がある」といった、自然災害とは異質のリスクをはらんでいます。こうした特性を十分に踏まえた保険設計とリスク管理が不可欠です。当社ではこの分野で先端的なイスラエルの保険最大手と提携するなど取り組みを強化しています。
 顧客や社会の「いざ」というときに役立ちたい。そうした思いを共有する社員一人ひとりの全員参加型で目まぐるしく変化する課題の解決に挑む。その積み重ねが、おのずとSDGsの理念の達成に結びついていくと信じています。

キーワード:経営・企画、経営層、管理職、経営、営業、技術、製造、プレーヤー、経営、CSR、CSV、ESG、環境問題、SDGs

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