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関電金品受領問題がコンプライアンス上、最低・最悪である理由 郷原総合コンプライアンス法律事務所 代表弁護士 郷原 信郎

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 9月27日、関西電力(以下「関電」)の八木誠会長や岩根茂樹社長を含む同社幹部ら6人が、高浜原子力発電所が立地する福井県高浜町の元助役の森山栄治氏から多額の金品を受け取っていたことが報道され、同日、岩根社長が、記者会見でその事実を認めた。関電・高浜原発の工事受注に絡んで、地元の有力者に巨額の金がわたり、その一部が、電力会社の会長、社長を含む幹部に還流していたというのだ。電力会社という、その事業が社会に重大な影響を与える公益的企業のコンプライアンスと経営者の姿勢に重大な疑念を生じさせる「衝撃的な事実」であった。

 10月2日には、岩根社長と八木会長が記者会見を行い、2018年9月に作成されていた調査委員会報告書の内容が公表されたが、この時点では、八木会長、岩根社長は、「不適切だが違法ではない」と言って辞任すらしないで押し通そうとした。

 しかし、社会の厳しい批判・非難を受けたことを受け、関電は10月9日の記者会見で、八木会長と岩根社長が辞任することを明らかにし、同時に但木敬一弁護士(元検事総長)を委員長とする第三者委員会を設置したことを発表した(社長辞任は、第三者委員会の調査終了後)。

 この問題を、電力会社の組織のコンプライアンスという観点から考えてみたい。

関電が明らかにした「事実の概要」

 これらの一連の記者会見等で関電が明らかにした事実は、概ね以下のようなものだ。

(1) 昨年の国税局の調査により、当社の役員等が多額の金品を受領していることが確認され、各自が所得税を修正申告し、納付済みである。

(2) 昨年7月に調査委員会(社外弁護士3人、社内3人)を設置し、9月まで調査を行った。不適切だが違法という判断をしていないので、公表しなかった。

(3) 2018年までの7年間に、八木会長は859万円相当、岩根茂樹社長は150万円相当、豊松秀己元副社長は1億1057万円相当の金品を受領するなど、物品等を渡された者が20名。金額の総額は3億2000万円であった。

(4) 森山氏は地元の有力者であり、お世話になっている。「返す」とか、「受け取れない」と言った場合、非常に厳しい態度で返還を拒まれた。返却困難な状況だったので、返却の機会をうかがいながら各人の管理下で保管していた。

(5) 受領した金品は、「儀礼の範囲内」以外は返却した(その「儀礼の範囲内」には50万円相当のお仕立券付きスーツも含まれていた)。

(6) 本件の調査内容を受け、報酬返上を含む関係者の処分を行っている。

(7)森山氏が関連している企業に工事を発注していることはあるが、社内ルールに基づいて適切な対応をしている。

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