「働き方改革」 先行する中小、挑戦するベンチャー

運動会・ママドラフト…ユニーク採用で人材集める中小 日本政策金融公庫総合研究所主席研究員・井上考二

記事保存

日経BizGate会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。

 それが「ママドラフト会議」だ。就職を考えている主婦が、約30社の企業を前に5分間の発表で自分をPRしてもらう。田中理事長は「質問されたことに答えていく一般的な採用面接とは異なり、主婦は自分を自由にアピールできる」と話す。経歴から始まり、何ができるか、何をやりたいか、どのように働きたいかを語る。

 企業側は、業容の拡大とともに総務、経理などバックオフィスの業務に精通した即戦力が必要となる場合が出てくる。一方、現代では主婦の多くには働いた経験がある。短時間勤務やテレワークなどで育児と両立ができるのであれば、就職したいという人は少なくない。

 発表を聞いた企業は、興味をもった主婦に対して、「いいね!」の札をあげる。即「採用」ではないが、会議後に行われる交流会で双方の希望を擦り合わせ、具体的な就労条件が決まっていくことが期待できるという。

 「ママドラフト会議は、ミスマッチを防げることに大きな意味がある」と田中理事長。企業側は、主婦の発表や交流会での振る舞いなどを通じて能力や人となりを把握できる。自社に必要だと判断すれば、求めている働き方に合わせて社内の制度を整える。「月に3回だけの勤務を認めたり、短時間勤務制度を創設した企業もある」と田中理事長。

 主婦の側も、同法人が事前に開催するセミナーを通じて、成長企業で求められる働き方を学んだり必要なスキルを磨いたりできる。一般の求人では、なかなか提示されない重要なポストに就くこともあり、新たなキャリアを築くきっかけになっているという。

 中小企業は、大企業のように採用活動に時間やコストをかけられない。能力や希望を正確に把握できないまま採用し、しばしば育成や定着に苦労することになる。一方の求職者も、企業の実態などについて事前に十分に把握できない。その結果、よく知らない中小企業より名の知れた企業への就職を検討しがちになるため、中小企業はなかなか就業先として選ばれない。

 ザカモアやママワーク研究所のケースは、まさにこうした問題を乗り越えるための工夫だ。人材確保のため、多様で新しい働き方にチャレンジするとともに、自社の魅力の発信などにも力を注ぐ必要が出てきている。

※この連載は今回で終了します。

閲覧履歴

    クリッピングした記事

    会員登録後、気になる記事をクリッピングできます。