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マツダ・スバル躍進の原動力 ブランド価値はなぜ大切か 明治大学経営学部教授 大石芳裕

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■マツダ3倍、スバルは6倍

 現在、同僚の原田将教授と自動車会社のブランド価値経営を調べている。例えばマツダは2013年にブランド価値経営を宣言し、同年のブランド価値622億円を2017年には2072億円まで引き上げた(2018年は1886億円とやや減少)。マツダはそれに先立ち、「モノづくり革新(2006年)」や「つながり革新(2009年)」、「魂動デザイン(2010年)」、「スカイアクティブ(2010年)」などに取り組んでいたが、それらを集約して「ブランド価値経営」を宣言して、ようやく実を結ぶことになった。ちなみにインターブランド・ジャパン社が主催するJapan Branding Awards 2019では、見事「Best of the Best」に選ばれている。

 マツダ以上にブランド価値が上昇しているのがスバルである。スバルのブランド価値は2013年の683億円から2018年には4214億円に右肩上がりに上昇している。スバルの場合、2007年からの米国シフト(現在、総売上高の6割強)が功を奏している。ただし、車両の大型化や米国で人気のSUVへ舵(かじ)を切っただけではブランド価値は向上しなかった。スバルのブランド価値が向上するのは、2012年に始まったラブキャンペーン以降である。ブランド価値が向上し、ディーラーの値引きの原資になるインセンティブを下げても売れるようになったので利益率が向上し、スバルもディーラーもますますモチベーションが上がり、さらにブランド価値が向上するという循環が生まれたのである。スバルは、インターブランド社の「グローバルブランド・ランキング2018」で初めてベスト100社にランクインした。

 日本企業は、今こそマーケティングを中核に置き、ブランド価値経営に専心すべきである。

大石芳裕(おおいし・よしひろ) 明治大学経営学部教授
専門はグローバル・マーケティング。日本流通学会(理事,前会長)など多くの学会で要職を務める。企業などで海外市場開拓を担う実務家らを講師として招く「グローバル・マーケティング研究会」を主宰。同研究会は第一線のマーケッター、研究者ら約3000人の会員が登録する、実務と学術をつなくグローバル・マーケティング研究の拠点になっている。近著に「グローバル・マーケティング零」(白桃書房)、「実践的グローバル・マーケティング」(ミネルヴァ書房)など

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