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32期増収増益の「ニトリ」がつくった物流でもうかる仕組み イー・ロジット 代表取締役社長 兼チーフコンサルタント 角井亮一

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 同社では2017年6月、「ニトリ渋谷公園通り店」を対象にした「手ぶらdeショッピング」という新サービスをスタートしています。

 ニトリアプリを使って、店内に陳列された商品の専用QRコードを読みこませると、ニトリネットと連動し、簡単に買い物処理ができるというサービスです。渋谷公園通り店はビルの1階から9階まで、合計1510坪の売場面積がありますが、大物家具を陳列するとそれだけで売場の5割近くを占めてしまい、効率の悪い陳列になってしまいました。そこで売場としての効率の悪さを逆手にとり「大物家具のショールーミングスペースにしてしまおう」という逆転の発想から生まれたのが、このサービスです。2019年2月期の累計で約2万2000件の利用がありました。

 また、同期間中に「ネットで注文し、店舗での受取り」を選んだケースが約16万件に上っています。

 このように、ニトリでは「オンラインからオフライン」、「オフラインからオンライン」、というように、ネットと実店舗を行ったり来たりしながら、買い物を楽しむ人が増えており、2019年2月期中に「実店舗で商品を確認しネットから購入した人」は68%、「ネットで商品を比較し店舗で購入した人」が67%だったそうです。その結果、2019年2月期のニトリネットの売上げは前年比27.3%増の389億円となり、全売上げ(6081億円)に占める比率(EC化率)は6.4%まで上昇しました。

 2016年1月、ニトリホールディングスの物流子会社ホームロジスティクスが、川崎市にある通販発送センター内にロボット倉庫「AutoStore」(オートストア)を導入しました。国内で初の試みです。

 これは、物流センター内で最も作業量が多い「商品のピッキング作業」を省力化し、作業時間の大幅な短縮とピッキング精度の向上を期待できるノルウェー企業が開発したロボット倉庫システムです。同社ではこの導入により、ピッキング作業での生産性は5倍以上向上し、想定より早い投資回収が見えてきたと言います。

 通常、ネット通販用倉庫でのピッキングは、作業スタッフにとって、商品の大きさや種類もさまざまで、1日の移動距離も相当長くなり、またピッキングする際の姿勢も腰への負担がかかる作業です。作業そのものは単純でも、肉体的な負荷がかかり、その結果、人手の確保もますます厳しさを増しています。その点についても、オートストアの導入によって、腰に負担のかからない姿勢でピッキングできるようになり、職場環境としても改善したそうです。

 2017年10月には、西日本通販発送センター(大阪府茨木市、13万平方メートル)に、日本初の無人搬送ロボット「Butler(バトラー)」を79台導入しました。無人搬送ロボットとは、商品保管用の棚を作業者の手元まで運んでくれるというもの。ピッキングする商品の棚までの移動距離を短くし、作業者の負担を軽減します。

 また、ロボットに搭載されたAI(人工知能)により、ピッキング頻度の高い商品(人気商品)を保管している棚を順次、作業者の近くに移動させていき、バトラー本体の作業効率も向上していきます。

 ニトリグループでは、さらに2020年夏の竣工をめざし、埼玉県幸手市に国内最大級の物流センター「幸手DC」の新設を決定しました。幸手DCにもロボット導入を考えています。

 「お、ねだん以上。」の顧客満足度を提供し続けるためには、圧倒的な低価格での商品提供が不可欠です。

 そのため、ニトリでは、海外生産・調達を積極的に進めてきました。

 商品の90%は、部品の調達から組立までを海外で行っています。インドネシアとベトナムにある自社工場のほか、国内外の協力工場(中国、パキスタン、バングラデシュ、インド、韓国、日本、香港、台湾、フィリピン、タイ、カンボジア、マレーシア、シンガポール、トルコ、エジプト、フランス、スペイン)を活用しています。ときには、納得できるものが見つからなければ、部品から自社製造することもあります。

 もちろん海外生産品の品質管理には、厳しい目を光らせています。製品検査、パッケージ強度、安全性検査などを500人体制のもと、自社工場はもちろん、中国の協力工場にも、スタッフを常駐させています。

 また輸入する際のコスト削減も重要です。

 同社では、2007年5月に恵州物流センター、2009年12月に上海プロセスセンターを稼働させ、物流効率の強化を図ってきました。現在、海外物流センターは4カ所(中国:太倉DC、恵州DC、台湾:桃園DC、ベトナム:ホーチミンDC)あります。

 日本国内に商品を持ち込む場合(=輸入)、海外物流センターを経由して、日本の港(コンテナヤード)に入り、通常、そこから物流センター(DC)に納品されます。物流センターでは、国内メーカーを含む複数の仕入れ先から入荷した商品を行先別(店舗、発送センター、配送センター)にまとめて出荷をします。

 海外の拠点であらかじめ行先別にまとめて出荷する場合もあります。その際は国内物流センターでの保管や積み替えをすることなく、直接、出荷することができ、国内での輸送・保管の効率化に効果をあげています。

 荷扱量は20フィートコンテナ換算で年間17万本を数える規模。単体企業として扱う海外からの物量では、物流業界全体でみても国内最大規模になるそうです。

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